底抜け合衆国―アメリカが最もバカだった4年間 みんなこんな本を読んできた 底抜け合衆国―アメリカが最もバカだった4年間
 
 
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底抜け合衆国―アメリカが最もバカだった4年間 ( 町山 智浩 )

 TBSラジオの火曜日昼のコラムを担当する町山氏が、911以降のアメリカをルポした。もっとも、本人には、最初はそこまでの認識はなく、だからこそ、きわめて自然なルポとなっている。<BR> アメリカは、自由の国として認識されていたが、911で変わってしまった。その噂は、いろいろなところで囁かれていた。しかし、実際に、アメリカで生活しないことには、その変化は実感として、理解できない。幸い、バブル期にサブカルチャーの編集者として一時代を築いた町山氏が、その変化するアメリカに暮らしていた。本書は、町山氏の実感に基づく、アメリカの変化のルポである。<BR> この本を読んで思ったのは、同じような変化が、日本でも起きているのだろう、ということだ。しかし、日本にどっぶりとつかっている者には、その変化がわからない。日本に暮らす日本人以外の者が、おそらくその変化を、一番、わかっているのだろう(町山氏がアメリカ人でなかったからこそ、アメリカの変化を実感として理解したように)。

底から見上げるアメリカはかくも生々しい。我々の認識とは明らかに違う政治、企業の有様には疑いつつも驚愕し、ラジオ界に跋扈する差別が売り物のDJには呆れかえった「あんたの祖父さん達が言われ続けた事だろうが!」と。<BR> 無論いい話もある故レーガン元大統領の話には思わずほろりとさせられた。私人としてはお世辞にも幸せとはいいがたい人物であったが、最後は自分を拒んでいたはずの子供達に見送られ静かに旅立った。ふと思う。死が全てを許すのなら現大統領の最後はいかなるものであろうかと。著者はいかなる文でそれを締めくくるのかと。

 アメリカに暮らす著者が 2000年から2004年にかけての“かの国”の様子を綴った論考集です。<P> 著者自身がシュワルツネッガーやマイケル・ムーアなど対象を“一次取材”してまとめた文章は本書の1割程度に限られます。それ以外の大半は著者が目にするラジオ・テレビ・映画・雑誌・新聞といった様々なメディアに現れた“間接情報”としてのアメリカです。<P> 私はそのことを批判的に指摘するつもりは毫もありません。むしろ生(き)のままの情報ではなく、お茶の間の人々に情報というものがいかにメディアによって濾過や加工をされた上で届けられているかということが、本書では生々しく報告されていると感じました。<P> ベトナム帰還兵の多くがPTSDに悩んでいるという神話についてのくだりを興味深く読みました。本書で指摘されているワシントン州の森の奥深くで孤独に暮らす帰還兵の話を私もかつてNHKで見たことがあり、ベトナム戦争の悲惨さを強く胸に刻んだものです。<BR> しかし本書によれば、彼は米軍基地内の映写機係だっただけで、戦闘には一度も参加していなかったのです。彼以外にも政府の補償金を得るためにPTSDを装う帰還兵が相当数いると指摘した本が98年に出版されているとのことです。<P> アメリカ市民の(そして日本市民も)大半はこのように「メディアを通じた“事実”」にしかアクセスすることができません。メディアの命運を握るものが情報、そしてひいては事実を握ることができる。ディズニー帝国やブッシュ政権などの巧妙なメディア戦略の様子を引きあいに出して、情報と市民との危うく脆い関係を本書は浮き彫りにしてみせます。<BR> 私は本書を優れたアメリカ・メディア論として大変興味深く読みました。<P> なお、女性の股間を描いた「世界の始まり」という絵画の作者を「クルーベ」(34頁)としていますが、正しくは「クールベ」です。同作品はパリのオルセー美術館で見ることができます。

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