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ボブ・ディラン自伝 ( ボブ・ディラン 菅野 ヘッケル )

Bob DylanのChronicles, Vol. 1の邦訳であるが、あくまで原著を読むことが原則であろう。意外にも早く日本語訳されたことは喜ばしいが、装丁は原著の方が立派であり、訳のいくつかには疑問もあるので是非ともDylanの文章を原著で読む手がかりとして用いた方がよい。それを前提とするなら、便利な邦訳である。<BR> あくまで原著についてのコメントである。本書はどこにも「自伝」とは銘打たれていないが、Dylanによって綴られた言葉の数々は心地よいリズムと自由なスタイルで彼の魂の遍歴を形式や時制を越えてリアルに伝えている。当然ではあるが彼の思想的、音楽的背景が如何に深遠な知識や才能を背景としているかが驚くほど明確な表現で記されている。自らの根源的かつ人間的なradicalismを語る行などは深い感銘を受ける、と同時に彼の本質が「詩人」であり「歌い手」であることが如実に伝わる。Dylanにとっての歌うことの意味とその喪失が自己との対峙のなかでさらなる次元へ昇華されていく過程も息を飲む。今、Dylanが歌う彼自身の歌はそれらが書かれた時よりも本質的意味を持って我々に届いているのだ。彼が歌い続ける理由が「わたしには歌を伝えることが重要だった」という明解かつ意味深い彼の言葉のなかにみえる。<BR> Dylanがこの本書で提示してくれた驚くほど誠実な精神の軌跡は彼の歌と同次元に位置し、かつ相互にさらなる理解を促す上で必須のものである。本書を公表したDylan自身の行為は、彼が求道者の如く続けているライブという行為とそこで歌われる歌と連動させて捉えねばなるまい。終りも過去もない、結論も必要ない、文字どおりnever-ending tour (終焉なき旅)へと至る必然が語られている。Bob Dylanという存在の意味が如何に唯一無二であるかをみせつけられる「今を語る自伝」である。

 この本は面白い。普通の自伝と異なり、時系列はここでは意味が無い。一風変わった才気あふれたフォークシンガーとして、音楽業界を駆け上る自信に満ちた初契約時のボブ、膨大な書物やレコードで必死に勉強していた修行時代の60年代初のボブ、時代の寵児として勝手に祭り上げられた自分に抵抗し、家族人であろうとする60年代末のボブ、ソングライターとしての限界を感じ意欲を失いかけていたが、一人のプロデューサーとの出会いで復活する80年代末のボブ、ジョーンバエズやジャックエリオットの才能におそれを感じ、ロバートジョンソンのレコードに衝撃を受けるデビュー前のボブ。これらが時間の流れをズタズタにして1章ごとに物語られる。<BR> 全編を貫いているのは、あれほどの奇跡のような超然とした傑作レコードを何枚となく発表してきたボブディランが、あまりに人間らしく煩悶しているさまである。そして超然としているかにみられるボブが、実はその煩悶のさなか実に多くのレコード(何とラップまで!)、ステージ、演劇、文学そして絵画に至るまで、すべてのものから何かを学ぼうと必死に探求しているさまである。この人が神のようなきらめきをその曲に残したのは確かだが、別にこの人は神ではなく、一人のミュージシャンである。そして彼が人並みはずれた才能を発揮したのは、実はこの自分に対する確信と迷いを激しく繰り返してきたことと、その探究心であったのだ。この本には、そのことが書いてある。そしてひょっとしたらこの本は、僕のような凡人が、彼のような素晴らしく独創的な表現者になれるヒントが含まれているのかもしれない。<BR> それは別にしても、読みやすい文体に無理のない訳文で、一気に読めるし、また時系列を無視したのが効を生して、物語には起伏があり、早く頁をめくりたい衝動にかられる、楽しい本であった。おすすめ。

近年読んだあらゆる小説よりも、リアルでイマジネイティヴな言葉にあふれています。神であり、カリスマであり、その存在自体が伝説であったディランも実は家庭と自由をなによりも大切にする普通の人であったことが第三章では切々と語られます。<BR>第一章、第2章はデビュー前の若き日のディランの回想録。「ライ麦畑」よりもアナーキーでかっこいいです。<BR>ディランファンは必読、そうでない人も一読の価値はあります。なにしろ20世紀のアメリカ文化史上最大の巨人の自伝であり、濫造されるノンフィクションとは別格です。<BR>いよいよノーベル文学賞受賞か・・・

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