〈民主〉と〈愛国〉―戦後日本のナショナリズムと公共性 みんなこんな本を読んできた 〈民主〉と〈愛国〉―戦後日本のナショナリズムと公共性
 
 
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〈民主〉と〈愛国〉―戦後日本のナショナリズムと公共性 ( 小熊 英二 )

2年ほど前、書店でこの分厚い、堅苦しいタイトルの本を取り上げ、それをパラパラとめくったとき、この本で敗戦からの戦後の思想史を辿っているのが、自分よりほんの少し年下の研究者であることに意外な感をもった。 著者は1963年生まれだから、丸山真男も竹内好はもちろん、60年安保はおろか、全共闘の70年安保さえも体験としては知らない世代である。 私が79年に大学に進学した当時、学生運動の残滓のようなものがまだあったが、80年代の消費文化とともに鳴りを潜め、時代を代表する思想家や評論家などもいなくなった。 <P>本書によって改めて戦後社会思想史の一幕ずつを辿っていくことは決して無駄ではない。 それどころか、戦後60年を迎え、グローリゼーションと市場経済の真っ只中にいる今、日本人の精神が直面する閉塞感、「個人」と「国家」の関係への不安、「企業」、「社会」との関わりの有り方を、この本で戦後史を辿りながり考えることが必要かもしれない。 「戦争を知らない世代」には、敗戦直後に「個人主義者であることに於いて正に国家主義者である」という「国民主義」を説いた丸山真男などの戦中派の背負った複雑な罪悪感をアクチュアルに感じることは難しいし、60年代の寵児だった吉本隆明の言説でさえ、なんだかやたらと攻撃的で冷たいと感じる。 その中で共感を覚えるのは、例えば鶴見俊輔の言う「他者と共感し連帯を生み出す『同情』の力」であり、「どんな人間でも、あるときには偉大であり得る、正しくあり得る、誠実であり得る、美しくあり得る」という人間への信頼である。 

ものすごい大書だけど、平易な文体ととても分かりやすい構造で一気に読み込めます。読みながら自分の父親を思い出していました。戦前の裕福な家庭に生まれジャズすきで、軍の学校在学中に戦争が終わり、高度経済成長で会社役員になり、戦争中の話はくだらない思い出と一切回りにかたらず、皇族を快く思わず、いまは寝たきりの父です。著者の父とはまったく違う生き方ですが、この本をもっと早く読んでいれば、自分の知らない身近な過去にもっと上手にアプローチできたのに、と思いました。

これは素晴らしい1冊だ。それぞれの思想家が、人々が、その時代の制約の中で精一杯思考し、右往左往してるさまが蘇る。現在の俺達が思考し、右往左往するのと同じように。例えば小田実だ。誰が今時、小田実をその時代を生きた思想家としてアクチュアルに再考しようと思うだろう。だが、それは俺の傲慢だったのだね。単に遅く生まれたというだけの理由で、優位に立ったつもりでタカをくくって過去を語ってるのは、この本にも紹介されてる威勢のいい現代の評論家どもだけじゃなかった。俺だってそうだったのだ。ありがとう小熊英二、読んで良かったぞ。

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