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日本の伝統 ( 岡本 太郎 )

 本書では「法隆寺は焼けてけっこう(p50)」と書かれた項がある。なぜかといえば、その一つの言わば回答として「自分が法隆寺になればよいのです(p51)」ということであった。<P> 私はこれを見て「なるほどな」と思った。<P> 私の場合、法隆寺ではなく、靖国神社に置き換えて考えてみたい。<P> 靖国神社には、言わば「英霊の物語」を想起させる施設であるわけだ。そして、その人なりの想像を巡らせたりもするのだろう。<P> だが、その想像、言い換えれば伝統を、単に過去のものとして止まらせる事が大事なのか。<P> 「形だけの伝統」を残存させておくのではなく、「伝統にある精神」を引き受ける事が本来は大事なはずではないか。<P> 本書を読んで、そんなふうに思った。

岡本太郎と言えば、1970年に開催された大阪万博の象徴とでも言うべき太陽の塔の製作者であり、その塔は大阪人にとっては今なおなじみのあるモニュメントである。大阪万博では、アメリカ館及びソ連館に人気が集中した。その当時は、アメリカ対ソ連の宇宙探索競争のまっただ中であり、それぞれ月への有人飛行を成功させ、展示物も「月の石」など月への探索に関連したものであった。その様な人類の大きな飛躍を象徴する国際博覧会を飾るモニュメントの製作者が日本の今日を代表する近代芸術家である岡本太郎であったというのは理に適ったことであった。岡本太郎は当時テレビのコマーシャルにも出演しており、パワフルなパフォーマンスで「芸術は爆発だ!」と叫び、日本中の国民を圧倒していたのである。それが強烈な印象として今でも私の脳裏に焼きついている。パリで芸術を学んだ、モダン・アートの先駆者である岡本太郎と私の中では認識していた。が、書店で、日本の伝統★岡本太郎という本を眼にして、おやっと思った。なぜならば、私のイメージの中では岡本太郎=日本の伝統という公式が理解できなかったからである。しかしながら、実際に本書を読んでみると、彼なりの観点から、縄文式土器、尾形光琳の絵、京都にある寺の持つ中世の庭に関する考察が展開されていた。とても興味深いものであり、大阪生まれで結構奈良、京都の寺社仏閣を探索していた私は、新たな寺社仏閣を見たような気分になった。特に思いもよらなかったのは、縄文時代の土器には激しい表現が見受けられるという見解で、メキシコのピラミッドとの比較では、昨年の夏実際にいくつかのピラミッドを見てきただけに、「なるほど!」と思わずうなってしまったしだいである。その激しさは岡本太郎とも通じるものがあったので、ちょっとほほえましかった。本当に岡本太郎と言う人は人を吃驚させる人なのだ!!

「今日の芸術」が当時の若き芸術家達に大きな影響を及ぼしたことは、赤瀬川原平の文章で読んで知っていた。この「日本の伝統」は、それまでの縄文土器に対する評価を180度転換させた「縄文土器論」に加え、尾形光琳と、西芳寺(苔寺)庭園をはじめとする中世の日本庭園について、やはり常識を覆すような論を展開している。特に光琳の「燕子花図屏風」に対する「群青の花弁はただ真空の空の中に咲きほこっている」という言葉が印象深い。読んでいて実に気持ちの良い本だった。

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