音楽ビジネスを、コンテンツ・ビジネスとしての側面から捉え、解説している。実は、同著者の前著『音楽ビジネス自遊自在～原盤権と音楽著作権を知るためのハンドブック』がいまひとつだったので、あまり期待はしていなかった。しかし、今著は大変良い内容だ。<P>第一部『音楽ビジネス概要』は、大局的かつコンパクトにまとまっていて分かりやすい。特に、プロデューサー視点から見た音楽ビジネス全体像は、私が知る限り、既存の類似書の中では一番分かりやすいと思う。<P>第二部『ケーススタディ』は、Ｑ＆Ａ方式で書かれている。実際に音楽ビジネスに携わっている人達からの質問が多く、具体的かつ実践的な内容だ。とても参考になる。<P>ただ、ひとつ欲を言わせてもらえば、第二部『ケーススタディ』の実務的なＱ＆Ａをもっと充実させてほしかった。著作権等に関する初歩的なＱ＆Ａは省いてもよいと思う。この種の本を手に取る人間の大半は、音楽ビジネスの専門的かつ実践的側面を知りたいと思っているのだから。<P>しかし、その不満をさしおいても、良書であることには違いない。音楽業界に興味がある学生さん、自分でレーベルを始めたいミュージシャンの人など、音楽ビジネスに興味のある人は、ぜひ読まれると良いと思う。