坂の上の雲〈6〉 みんなこんな本を読んできた 坂の上の雲〈6〉
 
 
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坂の上の雲〈6〉 ( 司馬 遼太郎 )

本巻には203高地攻略においてロシア陸軍の大砲という兵器に対し、機関銃と兵力だけで対抗するという愚行を幾度も繰り返し屍の山を重ねる日本軍の悲惨な状況が克明に描かれています。陸戦に対する固定概念に固執し、かつ最前線から離れた兵営にて現況を感じることのできない日本軍中枢部の愚かさが読むものにはたまらなく、とても切ない気持ちになります。戦略変更を断行すべく苛立ちと怒りに震える児玉源太郎、しかしながら当時の指揮官に対する気遣いからあくまで表立った更迭すら行わず、影となり指揮を振るった児玉の日本人としての行動等、本書において初めて知った日本人が多いのではないでしょうか。しかし、彼のこのような気遣いが逆に本人の寿命を縮めてしまい、更迭を免れた指揮官が戦後最大!!!功労者として国民から神格化されてしまいます。これこそ運命の皮肉と言わざるを得ません。その一方、艦載砲を陸に揚げて203高地を撃破したり、秋山好古によるコサック騎兵隊への機銃砲攻撃等、合理的かつ斬新な戦法でかろうじて勝利を収める経緯は読むものを引きつけます。

印象に残った言葉が多くあります。<P>「日本人には元来防御の思想と技術が乏しい」<BR>「戦争は勝つだけの工夫が必要だ。」<BR>「もともと戦争というのは、「勝つ」ということを目的にする以上、勝つ<BR>べき態勢を整えるのが当然のことであり,ナポレオンもつねにそれをおこ<BR>ない、日本の織田信長もつねにそれを行った。」<P>「もっともすぐれた間諜は、もっともすぐれた構想力のもちぬしである。」<BR>「目的にむかって周到に配慮し、構想し、実行についてはあらゆる機会を<BR>のがさず機敏に行動し、ほとんど狂人のようにすすんでゆくというこの性<BR>格は、すべての成功者がそうであるように偏執的でさえあった。」<BR>「ロシア帝国は日本に負けたというよりみずからの悪体制にみずからが負<P>けた。」<BR>「戦争というのは国家がやる血みどろの賭博であるとするなら、将軍とい<BR>うのはその賭博を代行する血の勝負師であらねばならない。(略)賭博の<BR>技術は参謀がやるとしても、運を貸すのは将軍でなければならない。」

旅順の陥落の後、黒溝台戦の叙述が序盤であった。この会戦でやっと秋山好古の騎馬兵団の活躍が叙述されていた。臨時立見軍の立見尚文中将が戦後永く弘前において「軍神」として慕われていたという。これは少し印象に残った。それぞれの地方にこのような英雄がいれば楽しいと思う。それにしてもグリッペンブルグの後押しをクロパトキンが約束?を破って実行しなかった理由が、グリッペンブルグの武勇をたてること、グリッペンブルグの勝ち戦にしてしまうことをいやがってのことであったことは、恐るべき帝政ロシアの腐敗ぶりを示すものである。グリッペンブルグはその後辞職しペテルブルグに帰ってしまったという。クロパトキンが第2次攻撃を実行していれば、ロシアが優勢であったと思われる。いずれにしても、グリッペンブルグとクロパトキンの反目、不仲がこの戦局に不利(日本にとっては有利)に働いたことは、信じがたいことであるが、歴史的真実ということだ。<P> また、バルチック艦隊も悲惨極まりない状態であった。アフリカ東岸、マダガスカル島の漁港(ノシベ)に長期間にわたり、滞在した。後半に記述があったが、フランスへロシアの高官が訪問した折りに、フランス側から、バルチック艦隊に関する質問がでたが、そのロシアの高官がまったく答えることが出来なかった事に、フランス側は驚いたという。まったく信じがたいくらいロシア帝政は堕落していたのだろう。バルチック艦隊は悲惨極まりない。<BR> 明石元二郎の諜報活動が詳述されていた。ロシア革命前夜の壮大なドラマのひとこまに明石の諜報活動が重要な位置を占めていたのは間違いのない事実であった。<P> さていよいよ奉天会戦に向けて、乃木軍が北進を開始した。東郷艦隊もいよいよ佐世保を出発し鎮海湾へと向かった。物語はクライマックスへと進む。ちなみにこの稿は司馬氏が昭和46年に筆を取っているとの記述があった。当時は、わずかに日露戦争従軍者が生き残っていた。今は(平成11年)もうゼロであろう。

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