私の家は山の向こう―テレサ・テン十年目の真実 みんなこんな本を読んできた 私の家は山の向こう―テレサ・テン十年目の真実
 
 
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私の家は山の向こう―テレサ・テン十年目の真実 ( 有田 芳生 )

香港に初めて行った時、地元の友人が持っていてとても好きになりMDに録音してもらったのが鄧麗君だった。<BR>その歌手がテレサテンだとも知らずに日本に帰ってCDショップで探してまわった。<BR>ある店の店員が出してくれたのがテレサテンの淡淡幽情というCDだった。その帯にはテレサテン、ジャケットには鄧麗君の文字があった。<BR>日本語で演歌やポップスを歌うテレサテンと香港から帰ってきて探し回った鄧麗君が同一人物だと初めて知った衝撃は大きかった。<BR>この本を読んで、世界中の中華系社会で鄧麗君が今も愛されている理由がわかった。<BR>日本に住んでいるとあまりにも世界知らずなのをあらためて感じた。<BR>中国の古い詩に曲を付けた「淡淡幽情」(オマガトキSC-6101)もおすすめです。

現在テレビのニュースで盛んに報道されている中国の反日デモ。コメンテイターのなかにはこれは天安門事件の反動だという人もいる。もしそうであるならばこの反日デモを見るにつけ私が思ったのは、もしテレサ・テンが生きていたらこの光景をみてどう感じるのだろうかということだった。そんな中テレサ10回目の命日を前にして有田芳生氏の待望の新刊「私の家は山の向こう-テレサ・テン十年目の真実」が発売された。本書を読んだ後に反日デモを見て感じたのは中国政府の本質は天安門事件の後も全く変わっていないということで、むしろ内包する矛盾は広がっているとさえ思えた。<BR> 著者の有田氏と言うとどうしてもオウム真理教、統一教会、はたまた「ザ・ワイド」のコメンテイターとしてのイメージが強いが、これまでにも「歌屋 都はるみ」を著しているように人物ノンフィクションの分野でも好著がある。これはテレサが亡くなった直後に出ると言われてなかなか出なかった本で、10年目にして正にやっと出たという感じである。本書はテレサの遺稿である「星願」に見られる孤独感、絶望感はどこから来たものなのかを手掛かりに、「二つの中国」に翻弄されたテレサ・テンという一人の歌手の実像に迫っていく物だが、「十年目の真実」という副題にあるようなセンセーショナルなものは無く、丹念な取材によって掘り起こされた事実が書かれているだけである。そこには没後10年という時間が文章全体に落ち着きを与えていて、それが読み手にも変な感傷にとらわれることなく読めるという効果につながっている。それだけに却って切なくテレサのCDを聞きながら読むと涙が出てくる。テレサに関するノンフィクションとしては平野久美子氏の「華人歌星伝説-テレサ・テンが見た夢」(晶文社)と並ぶ好著だと思う。<P> これまで私たち日本人が親しんできたテレサ・テンは、実は日本やアメリカなどの華人社会ではないところだけで活躍した歌手だった。台湾、中国、香港などの中華文化圏では一貫して鄧麗君であり、1974年に日本でデビューしたとき、かつて翁倩玉がジュディ・オング、陳美齢がアグネス・チャンとなったように鄧麗君はテレサ・テンという発音しやすい英語の芸名を名乗った。この事だけでもテレサは日本を中華文化の外にある国として捉えむしろビジネスの場所として割り切っていたらしいことが解る。したがって台湾、中国、香港における鄧麗君と日本でのテレサ・テンでは感触が微妙に違うのは当然だ。ただ私を含め多くの日本人が鄧麗君ではなくテレサ・テンを愛しているのも事実である。結局私たちに出来るのは本書で明かされているようなテレサの人生を真摯に受け止め冥福を祈ることしかない。そしてテレサの歌を聞くことで少しでも心が癒されるならそれだけで充分だと感じる。テレサの願いも案外そんなところにあったのではないかと思えるのだ。

テレサ・テンが歩んだ多難な人生、とりわけ、第二次天安門事件以降、失意のどん底にいたという話は、ある程度知ってはいたが、本書によって、改めて、彼女(とその家族)が中国と台湾を取り巻く政治の渦の中で翻弄されていた事実を知ることができた。淡々とした叙述が、かえって、胸を打ち、切ない生涯に、思わず涙が出てしまう。<十年目の真実>といっても、何らセンセーショナルなことが書かれているわけではない。むしろ、彼女に関する無責任な雑誌記事等を戒めているほどである。死因についても、根拠のない憶測など、一切ない。そうした誠実な取材の姿勢と、ひとりの歌手の生涯を翻弄する、巨大な政治と歴史の力が、読む者の心を揺さぶるのであろう。

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