1984年 みんなこんな本を読んできた 1984年
 
 
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1984年 ( ジョージ・オーウェル 新庄 哲夫 George Orwell )

この書が書かれてから時は経ち、今は21世紀ですが、当時のオーウェルは、スペイン内乱やその後のナチス台頭と終戦、そしてソビエト連邦による社会主義共和国圏の樹立などを鑑みて、社会主義体制が実際に運用された際に、その内側に生じる全体主義的で非人間的な側面に強い嫌悪と危機感を持ったのだと思います。本書はそういった危惧を、物語に託して語った名著です。<P>物語は、4月のある晴れた寒い日の13時頃始まります。何でもない普通の始まり方で、特に何の感想も抱かず読み進めてゆくと、そのうちに「これはちょっとおかしい」と言うことに気が付くでしょう。全編を貫くどんよりした閉塞感は、全体主義国家に漂う雰囲気そのままであろうもので、なかなかの空気感を持っています。<P>特に印象的なのは、作中に何度も登場する党の3つのスローガンです。<P>WAR IS PEACE(戦争は平和である)<BR>FREEDOM IS SLAVERY(自由は屈従である)<BR>IGNORANCE IS STRENGTH(無知は力である)<P>一見、何を言いたいのかサッパリ分かりませんが、物語の後半に明らかにされるこのスローガンの真の意味を知ったとき、国家の狡さと言うものは、時や国をも超えて共通するものであると思い知らされます。例えば現在の日本においても、部分的には上記スローガンのどれかが当てはまる状況(現場)は存在しているわけです。<P>その意味からも、単に社会主義を批判したものではなくて、体制(国家や企業)と個人の最悪の関係性を描いた反ユートピア作品として、現在の高度情報化管理社会にも通じる問題意識を持っており、決して過去の小説ではありません。

英国作家ジョージ・オーウェル最晩年の代表作『1984年』。<BR>1949年出版で、のちに「オーウェル的世界」という造語の基にもなり、<BR>ザミャーチン作『われら』、オルダス・ハクスリー作『素晴らしい新世界』に<BR>匹敵する20世紀ディストピア小説の最終形態をオーウェルは創造した。<BR>実際の1984年にオーウェルブームを世界的に巻き起こした偉大な小説である。<P>同年映画公開もされ、鳥肌が立つパラレルワールドが映像化されている。<P>ところで『1984年』は諷刺文学史上最も皮肉で残酷な「ラブストーリー」だと<BR>私は思う。それはハクスリーの「野蛮人」が自殺という逃げ道を与えられたの<BR>とは違い、主人公スミスは逃げ道を一切塞がれて射殺寸前にある愛に気付く周到さ<P>によく表れる。逆説的にスミス(またはオーウェルその人)をボルテールの諷刺小説<BR>『カンディード』の楽天的主人公カンディードに喩えた着眼点が印象的な書評もあった。<BR>確かにあれほど絶望的な状況下にあって必死の「カンディード(楽天さ)」がスミスに<BR>はあった。「もし希望があるとすれば」「正気とは統計的なものじゃないんだ」と<P>思ったスミスはまさに『1984年』に迷い込んだオーウェル版カンディードだ。<P>小説でオセアニア国は「純潔主義」という最悪の教義を全国民に押し付けた。<BR>これは元々実際に聖アウグスティヌス後、中世カトリック支配の手段だったやり方だ。<BR>オーウェルはあり得る未来として「新しい中世」の暗黒時代到来を予感したのだろう。<P>中世のDEUSが『1984年』のBIG BROTHERに姿を変えたという訳だ。<BR>ほかにオーウェルはハイエクの論争書『隷属への道』の影響も受けている。<BR>『1984年』の地獄図を理論的に追究したい人にはそちらも是非お薦めしたい。

 この本の本当の恐ろしさは最終局面にある。つまり、反体制思想に対して「矯正」(というより洗脳)がなされた後でなければ死罪には出来ない、というところである。<BR> これは何を意味しているのだろうか。この社会は「確信犯」を認めない、という論理で動いていることにほかならない。つまり、この社会の論理を受け入れない人間の存在を全く認めないのだ。だから洗脳し、わざわざ社会の論理を受け入れさせた上で抹殺するのである。<BR> 究極の管理社会とはこの本で描かれているような目に見える管理の仕方をとらない。ひとびとに管理を意識させない、つまり為政者側の政策を無条件で受け入れさせるようにするのが本当の管理社会である。そしてこの結末を見る限り、オーウェルはそこに気付いていたと思われるのだ。<BR> 現在、ある政党の内部で「粛正」が行われているが、本来政党助成金を貰っている「公器」の内部でこのような恣意的な除名は到底許されるべきものではない。しかし、マスコミが面白がって報道することで、このような自体に対する国民の批判精神は弱められ、忘れられ、いつしか「当然」で「自然」だという気持ちになってゆく、これがオーウェルも危惧した真の管理社会のからくりの一端なのである。

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