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科学哲学の冒険―サイエンスの目的と方法をさぐる ( 戸田山 和久 )

何よりもまず、著者の主張「(素朴)実在論を擁護すること」を立論することが哲学においてこんなにも難しいということに読者は唸る必要がある(例えばp140「哲学の常識を覆すことの方が面白くなると思うよ」というセンセイの意地悪な一言に注意)。この主張の背景には、著者が何度も述べている「科学」という集合と「哲学」という集合の共通部分を科学哲学と呼びたいし、呼ぼうよという政治的な主張がある。その意味で、著者の立場は明示的には表れていないけれども、クワインの立場に強く依拠している(と思う)。個人的にはp189からの「反実在論のどこがおかしいか」の議論に強く興味を抱いた。ここの2ページをもっと詳しく展開するだけで一冊本になりそう。またパラダイム概念に対する冷淡さとクワインに対する冷淡さに(良い意味で)感動した。単なる知識の羅列ではなく、あくまで頭を使い、論拠や論法をじくじくと炙り出して行くスタイルの入門書はとても読みやすいし、楽しめた(が好き嫌いは別れそう)。

 科学哲学を勉強したことが無く、科学に携わっていて、科学の方法論等についてなんとなくモヤモヤした疑問を抱いた経験のある方、おすすめです!また、電子は見えないのになぜあるとわかるのか?なぜ数学でスペースシャトルが飛ぶのか?と思ったことのある方、おすすめです!帰納法と演繹法、科学的説明とは何をすることか?、理論と観察と実験の関係は?実在論と反実在論、現象論的法則と基本法則の違い、モデルと実在、などについてとてもわかりやすく説明されています。全体の流れも、理系と文系の典型的な考え方を持つ二人の学生と科学的実在論をなんとか守ろうとする先生の対話というかたちで書かれていて、テンポよく読み進むことができます。<BR> 個人的には、帰納法というのは威力はあるが問題児でもある、とても奥深いものであるという印象をもったこと、またモデルとは何かという説明のなかで、物理学的な説明と分子生物学的な説明どのように異なっているかがすっきり理解できたこと、さらに抽象化と理想化の意味について考えるきっかけを得られたことが特に収穫でした。もちろんユニークな入門書なので、これで全てわかったということはありませんが、参考文献の紹介もしっかりしているので続けて勉強できると思います。

科学哲学って高度に専門的で、正直難しい。けど、20世紀、現代思想の重要な駆動力のひとつとしてかなり派手な役回りを担った分野でもあると思う。<P>僕はかつて「科学的であるとは誤りであることが証明可能なことだ」という実に鮮やかなカール・ポパーの議論にすっかり感心してしまったものです。うまい!と膝を打ちましたね。<P>科学の実際の歴史はポパーの見方のとおりには動いていないとするクーンのこれまた衝撃的な「科学的認識は反証よりも科学者の属するパラダイムの維持を最優先する」という議論も深く考えさせる力がありました。ここから反クーンの科学哲学の本流と、クーンを奉じて勢いづく社会学的な科学論(社会構成主義)との長い戦いが始まるわけですが…<P>本書はその科学哲学本流の議論の推移と核心をリカちゃんとテツオくんとセンセイの三人の対話形式で鮮やかに教えてくれる本。異常に飲み込みが早い二人の生徒の頭の回転がちと非現実的な気もしますが、三人の会話を丁寧に追えばそれだけでいつのまにか、古くはヘンペルの「仮説-演繹モデル」から最新の「意味論的モデル」までの科学理論の本質をめぐる終わりなき(?)議論の全体像をすっかり理解できた気になること請け合いです。<P>社会学に慣れると、社会構成主義ってものすごくリアルに感じられてしまうものなので、戸田山氏が本書の一部を割くアンチ構成主義の議論にはちょっと異議を差し挟みたくはなりましたし、しかも構成主義のバイブル『科学が作られているとき』をラトゥールとウールガーの共著と勘違いしておられるし(二人の共著は『実験室生活』です)文句なしではないんですが、それはともかく分かりやすさ抜群であることに一切異論はござりませぬ。

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