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ナショナル・ストーリー・プロジェクト ( ポール・オースター 柴田 元幸 )

 「どうも肌合いが違うな…これなら2chの話をまとめた『思い出に残る食事』の方が100倍出来がいい」なんて思って読んでいるうちに「戦争」の章に集められた話には魅了された。<P> ストレートフラッシュ同志のポーカー勝負に勝ち仲間たちから8000ドルを巻き上げた兵士が、直後に日本軍の戦闘機に爆撃されて死んでしまうという話。志願制となった日本上陸作戦への参加をひとり部隊でとりやめた兵士が、ハワイへ帰る途中、乗っていた輸送船が機雷で撃沈されて死んでしまうという話。16歳のドイツ少年兵が「朝から何も食べていない」と泣き出してオランダ人の主婦からポテトをもらう話。「『耐え難きを耐え』というヒロヒトのフレーズの主語は私たちだったのだ」と語り始める「1945年のクリスマス」。<P> ちなみに「『耐え難きを耐え』という…」の原文はHirohito meant us when he said, "We must bear the un bearable"。<P> 少しずつ読んでいきたい。

タイトルが示すように、アメリカを物語るような市井の人々の声を拾い上げるラジオ・プロジェクトから生まれた実話集。それも、作家ポール・オースターが妻のアイデアから始め、ラジオで読み上げていたものを本としてまとめたのだという。<P>作家などではない、普通の人々が誰でも自分の中に持っている物語を掬い上げるというアイデアの素晴らしさは、編集まえがきでオースター自身語っている通りだが、ひねくれもののオレなどが想像してしまうのは、何となく感動的なちょっとイイ話だとかありえない偶然のような信じられない話だとか教訓的な話など、実はいかにもどこかで聞いたことがありそうな典型的な話ばかりが集められているのではないかという先入観だった(偏見なのだろうが、日本でならそんな本にならないだろうか?)。<P>ところが、ここに描かれている179(+1ってまえがきの話か?)の物語はそういった大げさな語りではなく、信じられないような話も多くあるが、その印象を譬えるなら、映画の中で筋にはあまり関係ないのだが印象に残っている1つのエピソードという感じなのだ。作家が想像して書こうとしても書けるものではない、繊細で細やかな一コマの風景なのである。大きく10のテーマに沿って分けられているが、どんな話が語られるのかは最後まで予想を許さない。こんな話がラジオにたくさん送られてくるとは(1年間で四千通)アメリカの懐の深さを感じないだろうか。要するに、「素晴らしい読書体験だった」などと月並みな言葉で表現する以外に、オレなどには言葉も見つからないほどの得難い本であったということだ。

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