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百年の孤独 ( G. ガルシア=マルケス Gabriel Garc´ia M´arques 鼓 直 )

柳田邦夫の「犠牲-サクリファイス」を読み、自死を遂げた作家の息子の愛読書としてあげられていた。100年間、一つの町に壮大な、あるいは取るに足らない出来事が繰広げられる。一つ一つのエピソードは、古い寓話のようであり、その積み重ねが歴史であるようだ。そのエピソードには単純な幸せも不幸もなく、事実の裏の感情はいつもよどんでいる。冒頭の作家の息子が語ったこと、「忘却されることが一番恐ろしいことだ。」100年の歴史が語り切られたときに、そこには深遠な忘却が描かれている。文学のうえでもっとも深遠な「忘却-孤独」だと感じた。

 本作は世界中で三千万部の売り上げを記録した。<BR> もちろん売り上げが作品の評価に繋がることはありえない。しかし、決して通俗的ではなく、容易には読破できない作品がこれほどの読者を得るということは、必ず特別な理由があるはずである。そして、それは恐らく神話的なものとゴシップ的なものという二極において頂点に達してしまった西洋文学において、『民話的』な文学という新境地を開拓したという、革新性によるものではないか、と考えられる。<BR> 神話を起源とする文学はジョイスによって、ゴシップを起源とする文学はプルーストによって、それぞれ頂点に達し、後の作家はそれに追随するしかないと考えられていた。そこに民話を起源とする、土臭く、現実と非現実が曖昧に混ざり合った異国的な長編が誕生した。こう考えれば『百年の孤独』が発表されたとき、作家、読者両方に衝撃を与え、文学愛好者が次々と購読したのも納得がいく。つまり、文学に新しい道が開けたのだ。<BR> 前後して、こういったラテンアメリカ文学や、マジックリアリズム(よく誤解されるが、ファンタジーとは別物)といった作風が広く受け入れられるようになった。が、神聖さや覗き見的な快楽がなく、露骨な性描写や大げさな展開の多い『百年の孤独』のような小説は、人によっては野蛮に思えたりして受け入れにくいかと思われる。しかし、数多くの世界文学を読破し、大まかな文学史を理解できた後に本作を読めば、よりその面白さや価値を知ることができるだろう。<BR> 大げさかもしれないが、これは世界文学における不意の大地震のような作品なのである。

 ラテンアメリカを代表する小説家であるマルケスの代表作である。<P> 些か常識の部類に属するが、この小説は南米のとある国の、マコンドという架空の町と、その創始者の一族であるブエンディア家の荒々しくも悲しい歴史と有為転変をつづった物語だ。<BR> 形式的には、三人称のナラティブによる、時系列に沿った記述で構成された編年体であり、後年の大作「族長の秋」に比べて非常に読みやすい。絨毯が飛んだり、人が平気で100年以上生きていたりするあたりは、正にマジックリアリズムの手法が全開で、この物語の前・歴史的な味わいに趣を添えると同時に、読者を楽しませることにも貢献している。<BR> 総じて、すばらしい文学であるとともに、非常にとっつきやすく、読んでいて楽しめる作品だといえるだろう(「素晴らしい文学」などというものはもとよりそうあるべきなのだが)。<BR> <BR> 周知のとおり、この作品はフォークナーの「アブサロム、アブサロム」から派生した、我が国で言えば中上健二の「紀州三部作」、大江健三郎の「同時代ゲーム」などの、所謂「ファミリーサーガ」と同根と目されることが多い。<BR> きっとその通りなのだろうが、しかし個人的に受けた印象はそれとは若干異なる(少なくともフォークナーや中上とは明らかに別物だ)。<BR> この作品は小説としての体裁こそとっているものの、一読者として受ける印象は、寧ろよく書かれた御伽噺としてのものだ。<BR> つまり、一族の悲運を描くプロットを通じて民族全体の悲哀と苦悩が感得される、というよりも、その超自然的な逸話の数々のインパクトのほうが余程大きく、上質な寓話としての特徴のほうが強く感じられるのである。そういう意味では、ラシュディの”The Moor's Last Sigh"に近い印象を受けた。大方の読者もラテンアメリカの孤独と悲しみの声を聞いた、というよりも、「なんてファンタジックで悲しい話なんだ」と思われるのではないかと思う。<BR> 恐らくこの点こそが、時に惨たらしく、決して甘口ではないこの大作をして、高い文学的評価とともにこれほど多くの読者を獲得させているゆえんなのだろう。<BR> <BR> だから、この本をこれから読もうとされる方は、敢えて読み解こうとなどされず、単純に物語を楽しみ、その世界に浸る事を薦めたい。<BR> 

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