悪者見参―ユーゴスラビアサッカー戦記 みんなこんな本を読んできた 悪者見参―ユーゴスラビアサッカー戦記
 
 
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悪者見参―ユーゴスラビアサッカー戦記 ( 木村 元彦 )

ピクシーに魅せられ、ユーゴスラビアサッカーの亡霊にとりつかれた著者が、民族紛争の只中、憎しみ合い、対立し合う人々を往来し、サッカーを通して人々が和解し合う道を、懸命に見出そうとした、危険と友情に満ちた旅の記録です。<P>絶望的な状況の中で、怒り、震え、ジョークを飛ばし、酒を飲み、時には涙しながら、それでも人間を信じつづけようとする著者の軽やかで、毅然とした姿勢は、不思議にも実にさわやかな読後感を与えてくれます。<P>同時にこれは現代版ガリバー旅行記のように不思議の国を巡る、シニカルで風刺に富んだ冒険談でもあります。一度読み始めたら、決して降りることの出来ない列車のように、あなたを実り多い旅に連れて行ってくれることでしょう。

~私はサッカーに全然興味がありません。ストイコビッチの名前くらいは知ってたけど。<BR>なので、彼が試合中に「NATOは空爆を止めよ」と文字を書いたシャツを見せた件も、ニュースで聞いたときはその重大さがわからなかった。いま本書を読んで、あのときのストイコビッチの苦悩が、ユーゴの人たちが置かれた絶望的な境遇が、やっとわかった。泣けました。新~~幹線で読んだのですが、岡山から静岡まで涙止まらず。<P>圧巻は、ユーゴ代表チームがユーロ2000予選でクロアチア代表とアウェイで対戦した試合の描写。『悪者見参』というタイトルは、ここから来ています。かつての同胞でありながら分離独立後のクロアチアはユーゴ連邦と不倶戴天のかたき同士になってしまいました。そのクロアチアのど真ん中で、世界中から悪~~者の烙印を押されたユーゴ代表が戦う。勝った方だけが本戦に進めるという、これ以上ない切迫した状況。そのときストイコビッチたちはどう戦ったのか。<P>もうとにかく読んでください。絶対に失望はさせません。サッカー音痴の私でもこんなに多くのことを感じ取れた。サッカーを知ってる方なら、もっともっと本書を深く味わえるはずです。<BR>なお、本書の登場~~人物はほとんどすべて「なんとかビッチ」で覚えにくいので、巻末の登場人物一覧をしっかり活用してください。そうすればより一層深く味わえます。~

正直に言って、私はこの本の存在をつい最近まで知らなかった。親子3人サッカーが好きだが、まず、息子、そして、連れ合い、最後に私という順番。息子が出色のノンフィクションと連れ合いに勧めた。その連れ合いが勧めるので私も読んだ。驚いた。木村元彦という人はどんな人なのだろう。今年42歳とのこと、大変な行動力だ。取材当時はまだ30そこそこだったのだろうが、こんなジャーナリストがまだいたなんて。コの本もどれだけ売れているか知らないが、是非、沢山売れて著者に沢山金が入って欲しいと願う。一般的なジャーナリズムの世界も調査報道はすたれるばかりだが、木村さんのようなフリージャーナリストにもっと活躍して欲しい。サッカー好きなので、本は無論、大きなイベントがあるたび特集の雑誌など買うが、正直、に日本人の書いたものはほとんど面白くなかった。「政治とサッカーを混同してはいけない」という正論はあっても、事実存在するものは存在する。私は木村さんのこの本を読んで、若き日の沢木耕太郎を思いだした。とにかく、地を這うような取材、しかも、地域はあのユーゴ一帯で、それだけで凄いと思った。同時に、こうしたライターは金をどう工面しているのだろう。行動力が凄い、中身については妹之街商店街さんのレビューが詳しく、ほとんど同感なので多くを書かないが、木村氏に敬意を表したい。考えてみれば日本と旧ユーゴ地域の歴史と地勢との違いに驚かされる。ある意味で、日本に生まれた我が身の幸福を感じる。この違いがサッカーにでないはずがない。この本はスポーツ・ノンフィクションであると同時に優れたバルカン半島史になっている。ひとつひとつの事実の重みに絶句してしまう。とくに、ユーゴという国名と国旗と国家のもとでたたかうA代表を心から応援できない悲しさ、日本人には理解が難しい。とにかく、この本はいい本です。サッカーが好きで、歴史にも興味を持っている人にはとくにお奨めでしょう。

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