“育てる経営”の戦略―ポスト成果主義への道 みんなこんな本を読んできた “育てる経営”の戦略―ポスト成果主義への道
 
 
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“育てる経営”の戦略―ポスト成果主義への道 ( 高橋 伸夫 )

最初に言っておこう。この本は年功序列万歳を叫ぶ本ではない。確かに本書の文中には年功序列のメリットが列挙されている。しかしそれらは全て成果主義盲信に対する反論の一手段に過ぎない。著者が言いたいことはただ一つ。「経営者よ、自分の目で見て自分の頭で考えろ、そうでなければ人の上に立つ資格などない」ということだ。<P>数字とはあくまでデータに過ぎない。戦争が兵法書の丸暗記では勝つことができないのと同様、マニュアルに頼った評価では良い結果を導くことはできない。良い人材を求め、育て、活用するという事業の成功のためには当たり前のことも、人と人の繋がりがあって初めて可能になる。これは著者が主張する<日本型年功制>とて同様だ。著者自らが付け加えているではないか。「運用の仕方さえ各社の実情に合わせて工夫すれば」と。結局は経営者や管理者の力量による部分が大きいということだ。<P>念のため、本書は成果主義に替わる新たなマニュアルをもたらすものではない。そうしたマニュアルを破り捨ててしまえ、といっているのだ。制度を変えたところで運用する人間がそのままでは何も変わらない。別に目新しいことではなく当たり前の事なのだが、その当たり前の事を忘れないようにしたい。ざっと読んだ上での感想ではあるが、間違ってはいないだろう。

痛快、明快かつ面白かった。この本の主張のひとつは「成果主義で上手く行っている事例があるなら、具体的に会社名を言ってみろ!」である。つまり、成果主義に喧嘩を売っている本なのだ。成果主義について書かれた本を何冊か読んだが、「あの例はこういう点がまずかった」「こうすれば成功する」という内容ばかりだった。誰もが知っているような(つまり、実在する)会社名を挙げて説明したものは無かった。<P>成果主義を支持する知識人は、売られた喧嘩を買うべきだ。そうでないと「成果主義者」は口先だけのチキン野郎と言われてしまいますぞ。どうする、どうする?

副題の通り、"成果主義の失敗"とその必然性の説明。<BR>その一方で、"日本型年功制"の利点の説明と回帰を訴える本。<P>アカデミックな引用を結構使っているが、内容は非常にわかりやすい。<BR>よくまとまっているし、内容が首尾一貫している。<P>惜しいかな、難点は2つ。<BR>①途中のRBVは説明不足。流れが悪い。<BR>恐らく、もう少し高次のレベルから企業が社会の中で利益を得る、<BR>利益を許される仕組みを説明しようと挿入したと思われる。<BR>この章での引用ツールであるRBVについては、ツール自体が説明を<BR>要するため、RBVの説明に紙面を割いてしまい、前後の流れが捉えにくい。<BR>もう少し分かりやすく説明できるまで砕くか、無理して入れなくても<BR>よかったと感じる。<BR>ちょっと蛇足気味に映る。<BR> <BR>②昇給原資が無いから年功制に戻れ、と現実との乖離<BR>戦中、戦後の現金がなかった時代に生み出された、生活の安定保証を<BR>実現させる賃金カーブの仕組みと成り立ちについて説明し、<BR>成果主義の方が金が掛かる、金が無いからこそ年功制に戻れ、<BR>という論旨が本文の中にある。<BR>半分正しいが、半分正しくない。<BR>現実には、「成果主義報酬制度」は、総人件費を抑制するために<BR>使用されている。この点と折り合わない。<BR>バブル崩壊後に危機を感じている現代企業では、当時と会社内の人口分布が<BR>変わってしまったのである。<BR>将来の分として搾取できる若者が中心だった昔と異なり、<BR>昔の賃金カーブで約束された給料をもらう享受する側の人間が多いのに<BR>原資がない、これが問題の本質だ。<BR>だから多くの企業が「成果主義報酬制度」への移行を名目に総人件費を<BR>削減しているのである。<BR>ルールを変えてしまえば、どさくさに紛れて給料を減らせるのである。<BR>そして、「成果主義報酬制度」という言葉は利益が少ない現在に合わせて、<BR>給料総額を減らすための大義名分を与えてくれる甘美な響きを持っている。<BR>一部の社員にだけ多めに払えば、昇給と言う事実を生み出し、<BR>給料総額を下げた事実に対しての批判をかわせると考えるからである。<BR>人件費総額の減少をもって「成果主義報酬制度」を導入して成功した、<BR>と表現する企業までいる始末だ。<P>ここを突破しなければ、真に「日本型年功制」への回帰に導くことは<BR>できない。この視点が完全に欠如している。<BR>適切に捉えて議論して欲しかった。<P>上記のように批判めいた点を指摘したが、これらの批評を書けるのも、<BR>本書が良質の議論を提供しているからだ。<BR>本来、成功とは、著者が指摘するように企業の繁栄が続く仕組みを<BR>作り出すことである。<BR>私の勤める企業も本書と同じ「成果主義報酬制度」狂想曲が流れている。<BR>当社の人事部門も含め、多くの人事労務に携わる人間達が<BR>思考停止に陥っているように思える。<BR>沈黙して「成果主義報酬制度」を受け入れた、受け取る側の社員達も同罪だ。<P>多くの企業戦士はきちんと理解し、反論するべきだ。<BR>少なくとも、人事労務に携わるものであるならば、本書を読解し、<BR>正しい成功のための道標を探して欲しい。<BR>給料で生活する以上、多くの方にとって読むべき本である。

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