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神の発明 カイエ・ソバージュ〈4〉 ( 中沢 新一 )

いよいよすごいことになってきた。神学の話?なのに、トーラスとか、メビウスの輪とか、クラインの壷とか、球体の対称性の自発的破れ、とか、そういう話がたくさん出てくる。 <P>「つまり、神々の宇宙がスピリット世界をもとにして生まれたとするならば、ということは現生人類の脳を舞台にして『(私たちの言う意味で)唯物論的に』形成されたことを認めるならば、『論理的に考えて』、そこには二つのタイプの基本構造があるはずだ、と私は主張しているわけです。」 <P>うん、なんか「唯物論」とか「脳」とか「構造」とか、よく使われる単語が出てくるけど、なんかひとあじ違うものがある。テンションがすごい。 <P>世界を言葉で理解しようとすると、どうしても、本当に理解したいことは言葉にならない。言葉は、その中心をぐるっとまわったようなかたちになる。好きな人に言いたいことを伝えようとしても、どうしても本当に言いたいことはなかなか言葉にならないのと同じかもしれない。 <P>だから言葉による理解と言うのは、常にドーナツ型(トーラス型)で常に真ん中に穴が空いている。ここに降りてくるのが「高神」であり、これを発明した人類が次にたどり着くのが一神教らしい。 <P>穴が空いていたら埋めたくなるのが人間かも。で、一方で穴がないところに穴を開けたがるのも人間だったりする。だから、「あちら側」と「こちら側」の間にある壁をに穴を開けるために、たくさん毒キノコを食べてトリップしたりする。アボリジニも、インド人も、アメリカン・インディアンも同じようなことをしている。それって実は結構不思議なことだと思う。

日本語の「神」は英語で定義されるゴッド(God)と聖霊(スプリット)が混在して使用されている。本書ではまずスプリットとゴッドの区分を明確化し、ゴッドから唯一神が誕生する過程をスリリングに解き明かしていく。<BR>スピリットは自然に生息する目に見えない力であり、通常アニミズムとして理解されているものである。またスピリットとの交流は特殊な植物(ドラッグ)の飲用を伴なう儀礼やヨーガ、瞑想によって体感することのできる生理的な幻覚(「内部的視覚」)によって実現される。<BR>スピリットの世界に「何か」の圧力が加わったとき、スピリットの世界は「神」の世界へと変貌をとげる。「神」の世界では人間との非対称性の低い「来訪神」と非対称性の高い「高神」とに分岐する。「来訪神」とは民俗学者の折口信夫が日本の南方諸島の調査などで、知られている「まれびと」であり、高神はその場所の高き所に常在し、秩序を保つ。<BR>また「神」の世界の誕生は別著で説いていた首長から王の誕生に、伴なうものと主張している。中沢氏は前者をメビウスの輪で、後者をトーラス(ドーナツ)という数学的トポロジーの概念で関連づけ説明を行う。メビウスの輪は裏と表がないので、この世とあの世の行き来が可能で、真中から切り取ると表と裏に分かれた1つの輪になることでその行き来が遮断するメタファーとして来訪神を説明している。<BR>そして、このメビウスとトーラスを合体させることで、この世と異界とを結びつけるとともにこの世に秩序をもたらす父性をともなった唯一神の誕生という、極めて独特の数学的レトリックで解き明かす。この唯一神の誕生は歴史上のモーセのヤハウェの神の絶対的な信仰の思想に一致するとしている。

読み易いということが、必ずしも内容の薄いことを意味しない名著<BR>カイエ・ソバージュ(野放図な思考の散策)シリーズ第四巻。<BR>本巻では精霊〈スピリット〉のひとつであった神が、<BR>如何にして一神教の絶対神〈ゴッド〉に変貌していったかがまず語られる。<P>キリスト教はゴッドを仰ぐ一神教でありながら、<BR>三位一体という考え方を組み合わせることによって<P>スピリットの息吹を内部に取り込み、<BR>生命の活動と欲望が生み出すものに対して、<BR>柔軟な対応を行う欲望的な文明を準備できたのだという。<P>近年の「ゴッドの死」にかかわらず、もとからゴッドの性質の一部分であった<BR>「均質化」「情報化」「商品化」の原理は生き残り<BR>資本主義のグローバル化となって全世界を覆っている。<P>そしてその流れの中でスピリットさえも消費されつくされようとしている。<P>しかし心配は要らないと著者は言う。<BR>私たちが古代の人間と同じ脳組織を持ち<BR>そこに未だに「超越性」を指向するスピリットが住む限り<BR>「あらゆる宗教のあとに出現するもの」について確かなイメージを<BR>抱くことも不可能ではないからだ。

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神の発明 カイエ・ソバージュ〈4〉&nbsp;&nbsp;&nbsp;水木しげる漫画の「妖怪」たちや、宮崎駿アニメの「もののけ」たちに親しみを感じても、ユダヤ教やキリスト教の「神はひとりだ」という考え方に、違和感をおぼえる人もいるのではないだろうか。中沢新一は「人類の歴史の中では神も国家もないという状態のほうが、ずっと長かった」ことを強調する。一神教やそれが生みだしてきた国家は、ほんの2000年の歴史をもつにすぎない。では、それ以前の人類はどのような宇宙観をもっていたのか。 <p>&nbsp;&nbsp;&nbsp;本書では、まず、古代から人類がスピリット(森羅万象にひそむ妖怪や神々)と交感するために行ってきた努力が紹介される。アマゾン河流域に住むトゥカノ族は、幻覚性植物の樹液を飲み、スピリットを光のイメージとしてとらえようとした。同様のことが世界中の民族で見られ、アボリジニはそれを「夢の時間」と呼んだ。このような「内部視覚」の体験をつうじて、人類は心の底に「思考の及ばない領域が広がっている」ことを学び、それが超越的な神の世界を想像することにつながっていったのだ、という。 <p>&nbsp;&nbsp;&nbsp;著者は、スピリットたちが徘徊する宇宙から、人間とのあいだに絶対的な距離を保つ唯一神が誕生するまでのプロセスを解きあかしていく。そこから、「一神教の思考法」がつくりだしたシステムが横暴な国家を生みだし、「地球上に単一のグローバル文化」を広げる原因になってきたことが見えてくる。私たちがそれに飲みこまれずに独自の考え方を育むには、いま一度、人類が失ってきた叡智(えいち)とむきあう必要がある、と本書は提案しているのだ。(金子 遊)
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神の発明 カイエ・ソバージュ〈4〉