～～第二次世界大戦ものでユダヤ人の語りと聞けば、「ああ、また強制収容所の話か」と思う。<BR>しかしこの本は違った。<BR>命のつながりを、その広がりを感じさせてくれる。<BR>柳田さんの訳は少し固い気もするし、「です、ます」調の文の中に「～だろうか」ということばが入るのが引っかかった。<BR>それでもこのエリカという女性の真摯な生き方が、とても良く伝わ～～ってくる。<P>～～<BR>ロベルト・インノチェンティの、時間を切り取ったような絵も美しい。<BR>『ローズ・ブランチュ』という、やはりユダヤ人強制収容所を扱った作品がある。<BR>彼は、当時の様子に忠実に描くのだそうだ。<BR>～～<BR>第二次世界大戦を語り継ぐときに絵本はしばしば用いられるが、この本も格好の教材となるだろう。<BR>当時を知る人が少なくなっている現在、大人も子ど～～もと一緒に絵本を開き、学ぶべきだと思う。<P>勝者として味をしめた国が、いまだに多くの人の血でその手を染めていることを思うと、情けなくなってくる。<BR>その国は、何も学んでこなかったのだろうか。<BR>どうか全ての人々が「生」にむかって進める世界になりますように。<BR>重い祈りが込められた絵本だ。～～