大躍進の失敗で権威を失墜し、劉少奇・鄧小平によって実権を奪われた毛沢東は、自らを復権させるために紅衛兵に「造反有理！」と叫ばせ、プロレタリア文化大革命を発動させた。毛沢東は「アメリカ帝国主義」とフルシチョフのいわゆる「社会帝国主義」のふたつの核保有覇権国家の脅威を痛感し、劉少奇・鄧小平が推し進める経済政策が社会主義革命の本道から外れるものだと判断し、彼らの力を奪うためにこの大衆運動を起こした。<P>ところが中国は、毛沢東の想像をはるかに超える、自らの力を持ってしても収拾がつかなくなるほどの大混乱が陥った。各地で武闘や吊るし上げが繰り広げられ、学生は田舎に下放させられて勉学に打ち込む機会を失い、挙げ句の果てには林彪によるクーデター計画まで発生した。中国!経済発展は大幅に遅れることになった…。<P>著者は、この未曾有の大混乱について資料を駆使して実相に迫っている。特に首謀者に関しては、江青はじめとする「四人組」ではなくて、彼らを裏で操っていた毛沢東本人であると断定している。また文化大革命の混乱を収拾できなかった周恩来についても示唆のある意見を述べている。<P>文化大革命について知るための格好の概説書。