罪と罰〈上〉 みんなこんな本を読んできた 罪と罰〈上〉
 
 
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罪と罰〈上〉 ( ドストエフスキー Fyodor Mikhailovich Dostoevskii 江川 卓 )

 私がこの『罪と罰』で特に着目したのはドストエーフスキイの卓越した文章能力です。日本語訳ですからやはり訳者が上手いということも一因として挙げられるでしょうが、小説の世界の中で異彩を放つと言いましょうか、見たこともないほどに優れた文章です。具体的にどのような表現が立派なのかを挙げることは出来ません。全体として、とにかく素晴らしいのです。文学評論家でもなんでもない、論理的に文のよさを説明できるわけでもないこんな私にもレビューを書かせるだけの興奮を与える文章です。その純粋な文章力もさることながら、主人公のラスコーリニコフを始めとした人物の心情描写がとても面白くてドストエーフスキイが天才である所以、この本が名作として語り継がれている所以をまざまざと感じます。全く言い過ぎというものはありません。物語自体の纏まり、感動性も非常に優れていて、一見難しげな表現もなくはないのですがそれもすらすらと自然に入ってきます。あまりこういった言葉を使うと胡散臭さのようなものが出ていけませんが、この世のものとは思えないという表現がまさに当てはまる真の世界の名作です。

 「涙」なんて安い言葉じゃ表現できんな、コレは。この本の中には、追詰められた人間の本能が詰まってる。今まで自分は、誰にも言えない様な失敗もしてきたし。誰にでも言いふらしたい様な成功もしてきた、けど。そんな価値基準・・・全部ひっくりかえっちまったよ。ここに描かれてる絶望に比べれば、俺の人生なんてまだ何度でもやり直しが効くじゃねぇか。なんか逆説的だが力をもらったな。長~い暗~いトンネルが延々と続くこの物語に。「生きてく力/明日を信じる力」をもらったな。いつかキット光が見えてくるんだ。<P> 主人公も痛々しいが、なんと言っても脇役陣の存在がキツすぎる。この物語には人間のすげぇ嫌な部分が露骨に暴かれてる。人間の傲慢、人間のズルさ、人間のみにくさ、人間の愚かさ。人間はこんなにも弱い存在だからこそ、それを素直に認めた者だけが変われるんだ!自分の弱さを客観視できない奴は、成長できない退化するだけだ。確かに俺はラスコより低能だが、片親極貧学生の彼より多くのチャンスにめぐまれてる。それを活かせないなら生きててなんの意味がある?<P>PS●主人公の独白も読ませるが、饒舌な脇役たちの台詞に惹き込まれる。夢の暗示などレトリックも特級品だ。原文で読めない自分が悔しい。正直はじめてロシア人が羨ましく思えた。江川・新訳も◎読み易い。こんな名作を今まで敬遠してて損した。

いわずと知れたドストエフスキーの不朽の名作。<BR>自己をナポレオンに比し、衆人の抹殺さえも敢えておこなわんと、金貸しの老女を殺害する青年ラスコーリニコフの苦悩と葛藤、聖なる娼婦ソーニャとの愛と救い、人間存在に関する哲学的問いかけ...一見単純に見えるプロットの中にこれらすべてが仕組まれ、読むものに深い感動をあたえずにおかれない。<P>悲惨な物語をつづる自然主義作家の筆致はしかしながら、あたたかで美しい。<P>ソーニャが家族を助けるために初めて体を売った夜の描写。その夜「一体だれのために守っているんだい?」といって彼女を通りに送り出したのは、彼女の義母であった。帰宅したソーニャは何も言わず、手に入れた金をテーブルの上に投げ出す。そのままベッドに身を投げ出した彼女は、肩掛けで顔をかくしながら壁に向かって黙っている。義母はその足元にひざまずく。そしてソーニャの足にじっと顔をつけたまま、やがて眠り込んでしまう。そばでは、飲んだくれのぐうたら親父マルメラードフが人事不省におちいったまま、ぐうぐうと寝ている。<P>不幸と絶望の中にある人々が、不思議と明るい光に照らされているように感じられる。家族を助けるために自らを穢したソーニャは天使であり、聖母マリアである。罪深くも懺悔をし安らかな眠りにつく父親と義母は、神の迷える子羊である。<P>物語のエピローグは、自分が虫けら同然であることに絶望し、生に何の意味も見出そうとしないラスコーリニコフと、身を屈して愛をあたえるソーニャとの魂と魂のぶつかり合いである。最後にラスコーリニコフがソーニャの膝を抱き、愛にめざめるところは、あまりに感動的な場面である。<P>この物語を読むとき、人はどんな懐疑もどんな絶望も消え、ただ愛に対する信念が生まれるのを感じるだろう。そしてラスコーリニコフと同様、新生のよろこびを味わえることだろう。

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