これまで自閉症児の教育において，様々なアプローチがなされてきました。しかしながら，それらの多くはコミュニケーションや本人の現在の状況への適応を目標とするものでした。自閉症児に多く関わった人は肌でご存じだと思いますが，彼らの問題点の本質は人と人との関係をうまく作ることができないことです。これは，彼らに人との関係を作りたいという願いがないという意味ではなく，人とうまく関係を作りたいけどそのやり方がうまくないと言う意味です。私は今まで，非常に多くの自閉症の方と接触を持ちましたが人嫌いの人は一人もいませんでした。ただし，どの人も関わり方は普通ではなかったです。この本は，彼らの普通ではない対人行動を教えるためにどうすればいいのかということが解説された本です。非常に画期的だと思います。一冊でアセスメントと指導の両方に触れられていますので，日々の実践に取り入れることが容易だと思います。 <br />私は個人的にはずっと，この本に書かれていることが大きな課題だとは思っていましたが，それを体系的に教えるすべが分からず途方にくれていたので，非常に新鮮にそして感動を持って読むことができました。