この本は、まえがきにもある通り、当初、医療者向けに書き始められたものだという。 <br />ところが、著者自身、書き進めていくうちに、こうした「心の危機管理のコツ」は、医療者のみならず、職場や人間関係など、さまざまな場面で悩みを抱える全ての人に当てはまる内容なのではないか、と気づいたのだそうだ。 <br /> <br />私自身も、医療とは全く関係のない仕事をしているが、この本からは、一人の人間として生きていく上で必要な、仕事をする際の心の持ち方、トラブルが起きた時の対処法、他人との距離の取り方など、さまざまなことを教えられた。 <br /> <br />何よりも、心に悩みを抱えて一人で苦しんでいる人たちに対する、「あなたの心を守りたい！」という著者の強い思いに打たれた。 <br /> <br />随所に、著者自身の体験や、そこから感じたこと、学んだことなどが、素直な言葉で、飾ることなく綴られており、読者一人ひとりに対する真摯な思いが真っ直ぐに伝わってくる。 <br /> <br />また、個人的には、最後のほうの、死生観について書かれたくだりが特に感動的だった。 <br /> <br />“心の危機”を感じたら、その都度ひもときたい、心の拠り所となるべき一冊だと思う。