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孤独のグルメ ( 久住 昌之 谷口 ジロー )

本書に登場する外食屋のうち、4店に行ったことがある。勿論、本書で知ってからのこと。 <br />赤羽、石神井公園、池袋西武百貨店屋上、秋葉原の万世橋である。いずれも、漫画に描かれるとおり! 周りの風景から、空気の色、食事している客までが漫画と同じだと思われた。ある知人によると、店の人までがリアリズムだったとのこと。 <br />これは「食い物屋」の話であって、さにあらず。外回りの営業マンの話である。労働時間の大半を外で過ごす営業マンにとって、食事の時間は「拘束中の自由時間」である。得意先と一緒に食べたり、それこそ酒を飲みに行ったりすることも少なくないが、昼時の一人の食事は、ある種独特の時間の流れが存在する。これはやってみないとわからないけど、経験者であっても、この時間を上手く説明することができない。いや、説明する必要もないのだが、あえていうと、この時間にこそ営業マンの精神現象が、その一端を垣間見せると言えようか。 <br />その精神現象をうまく掬い取っているのが、本書の手柄である。 <br />本書に営業活動そのものの描写は僅かしかない。営業活動そのものは、一般の会社員営業マンの場合、「営業日報」というもののうえに無味乾燥な文体で定着される。しかし、移動時間こそ交通費精算書にその足跡が刻印されるが、食事時間、徒歩での移動時間はどこにも記録されない。振り返って、営業活動でおぼろに思い出されるのは、営業そのものよりも、食事や各種の妄想じみた存念に彩られた徒歩の時間、あるいは電車の中での多分に曲折した想念、タクシーでの運転手との世間話なのだ。いや、人間の過去の生活など、概ねそういうものかもしれない。しかし、ひょっとすると、そんなことだからトップセールスに名を連ねられなかったのかも、との思いは残る。 <br />そんなことまで思わせる沈思をいざなう1冊である。一つの時間論の趣きさえ漂っている。

某グルメブーム火付け役漫画の如くに、「口の中でプチュプチュと○○が××した所に△△がくしゅくしゅっと溶け出てそれを□□がトロトロッと包み込み云々・・」等というような、口の中で咀嚼した物を一度掌に総て吐き出し、丹念にこと細かく選り分けて見せるような描写はありません。食べる人の表情。感嘆の言葉。実際に店探して食べに行きたくなる、誘われる作品です!!

モノを食べる時にはね、誰にも邪魔されず <br />自由で、なんというか救われてなきゃあダメなんだ <br />独りで静かで豊かで… <br /> <br />このセリフ!まさに期待通りの久住昌之。 <br />私は「芸能グルメストーカー」から流れ込むようにこの作品に触れた口なのですが、 <br />06年10月時点で実に第14版、作品の息の長さが伺えます。 <br /> <br />「ダンドリくん」「かっこいいスキヤキ」等、日常性の中に潜むおかしみを <br />ダンディズムを交えて語ってきた久住昌之氏と、 <br />狩撫麻礼・メビウス・夢枕獏など錚々たる面々の原作を手がけてきた <br />職人・谷口ジロー氏の(一部漫画好きにとっての)夢の邂逅。 <br /> <br />明確なオチやストーリーなどはありません。 <br />盛り上がるでもなく、しかし決して退屈にもならず、 <br />久住氏の重箱の隅を突くようなこだわりと谷口氏の超精密な絵でもって流れていきます。 <br /> <br />それがもう、どうしようもなく、いい。こんな贅沢な漫画もそうそうありません。 <br /> <br />ただし、「一家に一冊」という類の本ではないですね。 <br />男がひっそりと独りで読むような、ある種の隠れ家的愉しさに満ちています。 <br />男の本棚に、静かに一冊。

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