本書が刊行されたのは、昭和35年であり、今から40年以上も前という事 <br />である。昭和30年代といえば、日本は戦後処理と高度経済成長の真っ只 <br />中にあった。著者は全国師友協会を設立し、成長著しい日本社会のリー <br />ダに、真のリーダにあるべき姿を訴えている。戦後の混乱した日本が進 <br />みつつある方向に東洋思想の「孟子」の教えを添えて、(少し暴走気味な <br />部分もありますが・・)、独特な視点から提言がなされている。 <br /> <br />特に、3章に取り上げられている「尽心章句」で、私自身は通勤電車の中 <br />で、何回も繰り返し読み返した。著者の「活学」とは歴史を越えた先人 <br />の教えは不変であり、ものが豊かになった現代においては意識の外に忘 <br />れ去られた重要なことがぼんやりと意識的に感じる事ができる。観察の <br />「察」という文字の生い立ちを初めて知った時、なんとも表現ができぬ <br />エネルギーが湧いたことは、本当に忘れられない。 <br /> <br />40年という年月を感じることなく、「活学」を実感できる一冊である。 <br /> <br />