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死にたくないが、生きたくもない。 ( 小浜 逸郎 )

老いや老後を扱った本は多いが、大抵はどれも老いを第2の人生、希望の実現ととらえている。しかし、老いとは、緩慢に進行する死でしかありえない。しかし、著者はだからといって、ことさらに老いを哲学的な問題としてとらえない。なぜなら、そこにはまた、老いを美化するのとは逆の欺瞞のベクトルがあるからだ。この著者の曖昧というかいい加減な姿勢は、たいがいの人間にはうなずけるものであろう。日々の人生が希望の実現と存在の意味のいずれかに分類されるわけではないのだから。

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