殺人が起こるわけでもなく、謎解きがあるわけでもない。にも関わらず第一級のミステリーです。そして勿論、ミステリーを読まない人にも、読み応えのある切ない一遍だと思います。精神の入れ替わりという奇想天外な前提からの物語は、下手をすると、地に足のつかない作品になりそうですが、とんでもありません。「秘密」はその世界観の中できちんと、統一され、無理なく、夫婦の絆を問う見事な文芸作品として成り立っています。精神の入れ替わりということはあり得ないことながらも、「自分だったら、こんな場合どうするだろう」……そんな思いに何度もとらわれました。本は大好きでよく読みますが、久しぶりに涙しながら読みました。

「秘密」は映画化もされているそうで、 <br />レビュー等を見ても評判が良かったので <br />前々から多少気にはなっていたものの、 <br />いざ本を手にし、さぁ買おうという気にはなぜかなれませんでした。 <br />読む前に大よその内容を把握していたからだと思います。 <br />「あ〜、入れ替わっちゃう話か、ありきたりかもしれないなぁ」 <br />という思いがありました。 <br /> <br />しかし、やはりファンである東野圭吾さんの作品なので <br />読んんでおこう、と思いやっとこの作品を手にしました。 <br />続きが気になる！という気持ちは彼のほかの作品に比べたら多少薄れますが、 <br />とても良い作品でした。特に最後のほうは涙を流しました。 <br />題名そのものの「「秘密」」には驚かされましたが、興ざめしてしまう感じも…。 <br />なので星4つです。