大物フィクサーとして、この物語の重要な鍵を握る桂木氏の過去が次第に明らかに <br />なる重要な巻だと思います。あらゆる情報が彼の元に集まり、まるで詐欺の世界を <br />全て握っているような、「なんでもありの力」があまりに強すぎて、今まではやや <br />リアリティを薄めているような気がしていました。 <br />　しかし、桂木氏が過去に計画した「計画倒産詐欺」では、日本経済にすら悪影響を <br />与えるほど大掛かりで、その伝説的な手腕を垣間見ることができ、彼の今の力の強さ <br />が少し実感できるような気がしました。 <br />　詐欺の世界にも食物連鎖と同じ秩序があり、その秩序が崩れると詐欺師もいつかは <br />獲物がいなくなり詐欺を行うことができなくなります。その食物連鎖（騙すものと <br />騙されるもの）の秩序を厳格に管理しているのが桂木氏。この本を読むたびに騙す <br />側ももちろん許せませんが、何より騙される側もあまりに無防備過ぎる現実を痛感 <br />しています。ちょうど雑誌「宝島」の2月号にも原案者である中原氏の詐欺に関する <br />最新のレポートが掲載されておりこちらも一読すると大変参考になると思います。