１巻目の獣の奏者"闘蛇（とうだ）編"を読み終わった直後、いてもたってもいられなく <br />なり、すぐにこの２巻の"王獣編"を購入してしまいました。 <br />１巻目と同じく、怒涛のような物語に呑まれながらも、最後には深い、じんわりとした <br />感動（これしか言葉が思い当たりません・・・）に静かに包まれて、読み終わってからも <br />しばらくは呆然としてしまって、気持ちが現実に戻ってきませんでした。 <br /> <br />「守り人」シリーズにも共通して言えますが、この「獣の奏者」シリーズも、 <br />まったく架空のファンタジー世界でありながら、その異世界に生きる人々や生き物の <br />生き生きとした、"体温"の感じられる血の通った描写は、読み手の心を温かくし、 <br />時には（主人公のエリンと一緒になって）泣いたり（泣きそうになったり）怒ったり、 <br />感動したり絶望したり・・・と、作者の上橋菜穂子さんの、温かかく、時には厳しい、 <br />"人間"や生き物に対するまなざしを、ひしひしと感じることができました。 <br /> <br />容赦のない出来事が次々と起こる中で、懸命に獣たちのためを思って生きるエリンが <br />希望だけではどうにもならない「現実」を知って絶望し、むなしさにとりつかれながらも、 <br />その果てに見えたものが、一筋の小さな、でも安易ななぐさめではない、真の"希望"と <br />なるものだった事に、本当に、何と言うか・・・涙が出る思いでした。 <br /> <br />「守り人」も、このシリーズも、上橋さんの描かれる物語と世界、そして人々や <br />生き物たちは、ただの"ファンタジー"の枠を超えた、本当に質の高いものだと思います。 <br /> <br />この作品に出会えて、本当に感謝したいです。