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近代化と世間―私が見たヨーロッパと日本 ( 阿部 謹也 )

2006年9月に急逝された著者の遺著。惜しい人を亡くしました。ドイツ語圏中世の歴史家である彼が、そのヨーロッパ史家としてのまなざしをもって日本の「世間」を批判する仕事は、まだまだこれからだったはずなのに。しかしこの最後の小さな一冊も、その視線のたしかさにより、われわれに多くを教えてくれるものとなった。何をおもしろいと思うかは好きずきだが、ぼくにとってはやはり第1章「西欧社会の特性」、特に「人間狼」をめぐるあたりが非常に示唆的だった。ごくかいつまんでいうなら、中世、殺人などの大罪を犯したものは、共同体から追放され、「狼」とおなじ扱いをうける。もはや人ではないのだから、狩猟され殺されても文句はいえない。本人も寒さをしのぐために狼の毛皮を身にまとったりする。そうしたものたちが集団を作ることもあり、それが里に出てきて物をねだるのがハロウィーンの「トリック・オア・トリート」的行事の原型になったり。かれら人間狼は「平和喪失宣言」をうけていたため、もはや扱い上は「死者」だった。なるほどね、そうか、そうか。ドイツ語ではWiedergaenger と呼ばれたというのだから、フランス語ではrevenant だろう。すると! あのショーン・ペンが死刑囚を演じた映画のdeadman walkingという奇怪な表現も、このへんに起源があったわけか。この人間狼を中心にした「賤民」の分析は説得力に富み、非常におもしろい。日本に触れた後半では、大学批判、丸山真男批判にうなずく。」そして、親鸞の評価。本書のしめの言葉が気にかかる。「欧米の自然諸科学の現状を仏教の視点から見直すこと。」これは大問題。よく考えてみる必要があると思った。

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