漢字伝来 みんなこんな本を読んできた 漢字伝来
 
 
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漢字伝来 ( 大島 正二 )

 中国大陸から渡ってきた漢字がいかにして中国語とは全く異なる言語である日本語の表記の道具として使われるに至ったかを記した書。 <br /> <br /> かなりお堅い内容の本だというのが率直な感想です。私は言語学の知識は十人並み以上にはあるつもりですが、それでも本書の記述は相当難しいと思われます。殊に「補章 日本漢字音と中国原音の関係を知るために」は中国語の知識のない私にはちょっと歯が立ちませんでした。 <br /> <br /> ほかにも理解が進まない箇所がいくつもあります。 <br /> たとえば51頁に漢字導入初期にみられた中国音と日本語音との違いについて本書はまず以下のように記しています。 <br /> 「『白』の中国音p-をh-で写したのは、そのころの日本語の音体系にp-がなかったための苦肉の策であった」。 <br /> <br /> しかし、128頁ではこれとは異なることが書かれています。 <br /> 「ハヒフヘホは現在ではha hi hu he hoと発音されているが、このような音は古代の日本語にはなく、江戸時代以後にはじめて生まれたもので、それ以前は、これらの仮名はfa fi fu fe foと発音されていた」。 <br /> <br /> つまり51頁ではかつての日本語にはp-音がなくてh-音で代用したといいながら、128頁では日本語にはh-音がなくてf-音だった、という具合に矛盾した内容が書かれているのです。 <br /> 私の理解では、日本語はp-音がf-音を経てやがてh-音へと変化したというのが歴史的には正しいと思いますが、いかがでしょうか。つまり128頁のほうが正解だと思うのです。 <br /> <br /> 本書で、大変興味深く読んだのは、中国漢字文化圏の影響を強く受けながら自国語を表記する文字を苦心しながら編み出していった日本以外の東アジアの国々について記した第6章です。 <br /> 漢字を捨てた朝鮮語のハングル、漢字を真似た契丹文字や女真文字やベトナム文字、といった漢字との格闘を演じたそれぞれの文化圏の物語は飽きることなく読みました。 <br /> <br />

漢字は、中国から、その文明と共に周辺の未開の諸国に伝播していき、各地で独自に変形して発展していったそうです。しかし今デジタル化をもう一歩進めるために、再度それら分化した文字全てを、一つの一覧表に纏める必要に迫られています。台湾・日本・中国・韓国・ベトナムの漢字ならびに漢字からの派生文字をも含み得るようなコード表が必要です。さしあたっては、ユニコードの考え方に落ち着いていますが、問題はそう簡単には終息しそうにありません。この点を考える上でも、我国の漢字受容の歴史を中心にして、大規模な漢字文化の拡散の痕跡を照らし出す本書は、全体の状況を見渡すのに好適です。 <br /> <br />漢字を肉化し、外来の進んだ文明に同化しようと努力していったわが国独自の歴史を丁寧にたどっています。しかしこの歴史は逆に、文字こそなかったが、やまとことばという音だけの言語世界を優れたものと考えて、新来の文字をただ道具として、そこに定着させていったのだと考えることもできます。偏狭なナショナリズムにもなりうる所ですが、著者は漢字受容の際の新羅など朝鮮国の役割なども周到に言及されておりバランスの良い学的立場に好感が持てます。 <br /> <br />特に感心したのは、太安万侶から橋本進吉まで、この面からは余り詳しく説明されてこなかった人々が、同じ目標に向かって大変な努力をされてきたことがやさしく書かれていたところです。 <br /> <br />著者は最後に、漢字は音と形を伴った言語であり、文字を音とのみ考える欧米言語学では捕らえられない問題があることを指摘されています。確かにわが国の伝統的な美にたづさわる人たちは、共感覚者のように音と共に文字の形による美をも十分意識しており、同訓異字だけでなく同義異字、かなやカナの混じり具合などにも配慮しているようです。また意味論でも欧米型ではないものも考えられる可能性もあり、形を持った文字には広い問題域が残っているようです。 <br />

久しぶりに「新書の醍醐味」を味あわせてくれる本。 <br />文句なしに良書だ。 <br /> <br />漢字の伝来、そしてその後のカナ文字の発生について扱った書籍なら、他にもあるだろう。 <br />だがそれは、あくまで日本国内の事情にとどまっていた気がする。 <br /> <br />だが中国の周辺には、日本と同じように漢字という圧倒的な存在に影響された幾多の民族がいる。 <br />それら周辺諸民族の漢字受け入れの過程と比較して初めて、日本のそれがどういう意味を持っているのかがわかった気がする。 <br /> <br />注釈も興味深いし、オマケとして付け加えられた中国漢字音についての記述も面白い。

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