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民族とナショナリズム ( アーネスト ゲルナー Ernest Gellner 加藤 節 )

学術書だ(と思う)が、読み物としても面白く書かれている。これは翻訳の力も大きいとは思うが、非常に読みやすい。ゲルナーの論の精度には異論がある人も多いだろうし、それは妥当だ。だが、彼の論はあくまで社会の類型が持つ「指向」を扱ったものであって、それがどの程度現実社会において実現できているか、という問題とはまた別ではないかとも思う。ナショナリズムを考える上で必読の書物であるのは間違いないだろう。また、この読みやすさゆえ、研究者以外にもお勧めしたい。安易に「国」や「国民」といった言葉を使う風潮がいかに皮浅なものかが分かると思う。

ナショナリズム論の理論家の第一人者であるゲルナーの代表作である。<br>国民国家は信じられているほど起源をもったものではなく、近代化工業化の結果生じた、浮遊人口を労働者へと統合するための手段として生まれた、という著者の議論は、非常に明確でわかりやすい。

ゲルナーは本書を通じて産業社会とその発展の速度の違いがナショナリズムを生み出すと断じている。しかしそれは正しいのだろうか。ナショナリズムが近代の中で成立したことはその通りだとしても、それ以前の、ゲルナーの言う農耕社会には全く関係のないものなのだろうか。そもそもナショナリズムの根源が近代的な産業社会にあるというのは、当時は論争的な意味合いがあったとしても今は全くの極論である。そもそも、産業社会によって拡大した社会ネットワークがネーションになるというなら、古い社会が果していた役割をネーションに見出すのが自然というものだろう。ゲルナーの立論は、先進国でも反グローバル化によるナショナリズムが勃興している近年の情勢によって部分的に解体されている。産業化が人間を均質、平等化し、古い社会を解体して近代的なネットワークを形成して、それを基盤に近代国家を登場させ、国家がネーションを作り出したという立論は、あくまで限定的に理解されねばならない。ゲルナーの議論はナショナリズム研究の出発点であって、現代のナショナリズムを読み解く鍵になるかどうかは怪しいものと言わざるを得ないだろう。

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