想像の共同体―ナショナリズムの起源と流行 みんなこんな本を読んできた 想像の共同体―ナショナリズムの起源と流行
 
 
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想像の共同体―ナショナリズムの起源と流行 ( ベネディクト・アンダーソン 白石 さや 白石 隆 )

 本書は、中国生まれのイギリス人インドネシア研究者の手になる、ナショナリズム研究の古典である。本書は、ナショナリズムの「根強さ」・「魅力」の解明を目的として書かれ、ナショナリズムがそう簡単には無くならないことを前提にしている。つまり、彼がナショナリズムを「想像の共同体」と言うとき、それは「安易な妄想の産物」を意味しないことに注意。彼にとって、近代ナショナリズムの特徴は、面識圏を超えていること、したがって出版資本主義と密接に関連していること、主権国家体系の下、それを意識する形で「モジュール」として形成されることである。<P> 本書の主張は、大筋において説得的であるが、ややナショナリズムの過大評価の感が無いわけではない。私見では、ナショナリズム一般はその!義性ゆえに偏在し、根強く見えるが、(とりわけ国家権力と結び付かない民族の場合)個別のナショナリズムがどれだけ根強いものかは疑問であり、またナショナリズムによって解決できる問題も、それほど多くは無い。<P> また、「想像の共同体」という定義は、歴史学としては一般的すぎる定義であるが、ナショナリズムのとらえどころのない多様性を考慮するとき、こうした形でしかナショナリズム一般を定義しえないのは確実である。もっとも、その汎用性ゆえに、とりわけ日本の企業や政党などにも適用可能であり、そこに一つの展開の可能性があるように思う(例えば成田龍一氏の「故郷」研究など)。

 ベネディクト・アンダーソンの『想像の共同体』は近年、学術分野で不可避の「国民国家」の起源に関する著書です。現在では政治系の学生の教科書として広くよまれていますが、様々な分野で引用されることが多く、ここでアンダーソンの議論を確認しておくことは極めて有益であると思われます。<P> さて「国民は主権的なものとして想像される」。この有名な言葉はなぜ近代に人々が「国家」というものに対して進んで命を捧げたのか、という現象に対する著者の仮説であります。アンダーソンの議論によると、近代の国家という政治システムは「上」から与えられるものでなく、「下」から生み出したように人々が「国民」という「主役」になれるような操作のもとに誕生したものなのです。<P> つまり旧エリート層!らの権力移行に伴って、新興エリート層は民衆化という「公定ナショナリズム」を生み出し、大衆操作を行う必要があったわけです。それはナショナリズム運動の中で民衆を一つに包括するという目的で民族主義・人種主義といった概念や教義を生みだし、それらを文学や「無名の戦士の墓」などの文化の中に組み、国家への愛国主義へと育んでいったわけです。この意味で民衆は新興エリートに翻弄・操作される対象でしかないわけです。<P> ここにアンダーソンの近・現代史が生み出した民衆による殺戮の歴史の答えがあるように思えます。『想像の共同体』は日本の民主主義、教科書、愛国主義などを考える洞察力や議論の力として極めて良書となることは言うまでもありません。

 「国民とはイメージとして心に描かれた想像の政治共同体である」(24頁)。 <BR> 広く知られていながら、詳細な意味までは知られていない定義ではある。副題にある通り、本書は、ナショナリズムがいかにして形作られ、地球の隅々まで普及するに至ったのかを説明するための、一つの壮大な試みである。<P> 近年、個人に至上の価値を置く近代主義的、社会契約説的思考について、その行き着く所に対する懸念がますます高まっており、共同体論(communitarianism)の立場から、アイデンティティのよすがとしての国家が再評価されつつある。もちろん本書ではそのような議論に対してはなんら言及してはいないが、どのような形であれ国家を再評価するという過程においては、現に存在している国民共同体、すなわち国民国家がどのようにして普遍化するに至ったのか、その歴史的経緯を辿る作業を避けることはできないだろう。この「想像の共同体」という仮説は、「近代主義の限界」を論じる際の議論の土台になるように思われる。

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