我が聖域に開け扉〈下〉―魔術士オーフェンはぐれ旅 みんなこんな本を読んできた 我が聖域に開け扉〈下〉―魔術士オーフェンはぐれ旅
 
 
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我が聖域に開け扉〈下〉―魔術士オーフェンはぐれ旅 ( 秋田 禎信 )

オーフェンはぐれ旅、終わっちゃいました。<BR>このシリーズが始まってから九年間たちました。<BR>といっても自分が読み始めたのは今年の初めぐらいからですから、この作品が終わるまで半年ぐらいしかつきあっていませんが。<BR>しかし、この作品が最終巻というのはとても寂しく、また寂しいと思わせてくれるのは読者としても嬉しい限りです。<P>そしてこの巻についてですが、<BR>ラストは人それぞれで意見が分かれると思います。でも自分としてはこの作品の最後としてはいいものになったと思います。逆に、ほかのものだったらこの「オーフェン」という作品がひどく味気のないものになっていたでしょう。<P>オーフェンはこの作品の中で成長します。過去のしがらみから解き放たれ、いや、過去の自分の愚かさを認め!、誰もが絶望する中で生きていきます。これらをありきたりな「ファンタジー的な成長」と掃いて捨てるかもしれませんが、そんなことが気にならないほど彼の生きる姿はかっこいいです。<P>彼は自分で正義の味方なんてつもりはない、と言います。が、自分で見たものを判断し、自分を信じて突き進む姿はかっこよく、確かに彼は超人ではないかもしれませんが、自分にとって彼は「ヒーロー」でした。<BR>それが自分個人のこの作品の魅力です。

 第一部は一冊一冊で盛り上がりがあり、それでいてきちんと<BR>続き物のシリーズになっていたように思います。それに対して<BR>第二部は巻数を重ねる程に、一冊での盛り上がりよりも、この<BR>最終巻へと向けてじわじわと話が盛り上げていくスタイルだと<BR>思いました。<P> そのせいか、ずっとじれったい思いで読んでいたのですが、<P>それに見合うだけのテンションの高いカタストロフィもなく、<BR>淡々としたままシリーズが終わってしまったように感じます。<P> それでも★4つという評価を下したのは、その淡々とした<BR>中にも、様々な形であがき、戦う姿勢を崩さない登場人物の<BR>生き様がどっしりと描写されていたからで、個々の人物が<BR>「らしさ」を崩さなかった中に魅力を感じたからです。<P> 僕の期待は衊??切られましたが、第二部オーフェンには、<BR>こういう結末が似合うのかもしれません。<BR> オーフェン・マジク・クリーオウの三人、そして全ての<BR>生き残った登場人物が、物語の先でそれぞれの幸せを掴む<BR>ことを願います。

今巻で、オーフェン、クリーオウ、マジクの旅は終焉を迎えます。このラストには人によって賛否両論分かれてしまうかもしれません。私も少々物足りないものを感じたことは確かです。しかし、良くも悪くも「オーフェンらしい」と言ってしまえば、その通りです。<P>強くて弱くて、でもやはり強い。安っぽい正義感ではなく、ただ自分の存在と自分を知る者たちを護る為に最期の盟約に挑むオーフェン。超人になりきれない主人公。しかし、超人には世界は救えません。一人の超人に救える世界ならば、その世界には、その一人しか必要な人間はいないことになってしまう。<P>絶望の支配する世界《キエサルヒマ》。しかし、絶望を感じない人には希望を感じることは出来ない。ただ何も考えず、流されていくだけでは何も!手にいれられない。《オーフェン》と言う世界は、私たちの生きる世界と、とてもよく酷似しているように感じます。そこが他の国内外を含めたファンタジー作品とは一線を画す作品だと思わせる一つの要素です。<P>オーフェンの旅は続くでしょう。独りであっても。彼は魔術士であり、それ以上でもそれ以下でもありません。でも、絶望はしない。たとえ絶望しても、生きていく。だって、彼の旅は「はぐれ旅」なのですから。

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