司法試験勉強のカリスマである伊藤真の刑事訴訟法入門書である。ある法律を勉強する場合、そのアウトラインをあらかじめインプットしておくのはきわめて有効な勉強法であるが、このアウトラインというのをどの程度のものにするのかというのは、実は相当難しい問題である。このシリーズは、おそらく、このアウトライン提示という意味では、もっとも適切なところにあるのではないかと思う。そのため、この本は、司法試験や資格試験、公務員試験を目指す学生のみならず、法学部を受験しようかどうか迷っている高校生や中学生、教養として司法制度を理解しようとしている知識人、あるいは推理小説を読むため、書くために、この法律を理解しようとしている読書人などにもお勧めできるものになっている。個人的!は法学部以外に属していながら、司法制度と密接に関連する分野を学ぶ学生、具体的には犯罪社会学や犯罪心理学、社会福祉学や行政学を学ぶ学生、隣接する公務員、具体的には家庭裁判所調査官や国家公務員（人間科学）、地方公務員（心理、福祉）受験者（刑事訴訟法が直接出題されることはないが、この本を読んで身につけたセンスは必ず実務で役に立つ）に特にお勧めしたい。