この本には数々の記憶を助けるための方法が載っています。基本的なペグ法からそれをどうビジネスに役立てるかといった内容まで分かりやすく説明してくれています。本書で画期的なのは、記憶術を単に説明するだけの本ではないという点です。著者は「記憶術を成功術へと高める」と表現していますが、記憶自体にあまり意味はないんです。記憶したことをどうやって自分の成功のために役立たせるか、これが重要になってくるんですが、その過程を詳しく本書の後半で書いていてくれてます。具体的に言うと、記憶力を、交渉力、文章力、発想力、語学力、人間関係力へと高める方法が書いてあるんです。この辺は他の記憶術関係の本で述べられていないので、とても参考になります。<P>しかし、タイトルと本書の内容が!致していないのが少し不満です。「記憶力30秒増強術」とあるんですが、本書のノウハウで記憶力がよくなることはあまりないと思うんです。記憶術は本来「記憶を助けるもの」であるので、記憶力自体を高めるものではない。記憶力を高めたければ、池谷裕二氏の著作を読んだ方がいいでしょう。<P>しかし、やはり内容は画期的です。一瞥の価値はあると思います。