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ポピュラー音楽へのまなざし―売る・読む・楽しむ ( 東谷 護 )

 興味深い論文からそうでないものまでさまざま揃った詰め合わせ。小川博司『音楽する社会』北川純子『おとのうち、そと』に続く日本人研究者によるポピュラー音楽研究の入門書との位置づけである。<P> 内容は矢向論文を別として人文科学と非数理系社会科学に偏った観もあり、この分野の現状をよく示している。<P> また、結果としてポピュラー音楽が研究対象となるのではなく目的としてポピュラー音楽を研究対象としている印象が強く、大昔からポピュラー音楽研究の方法論談義ばかりが延々と続いている理由がなんとなくわかる。つまり巷に溢れている音楽談義をアカデミズムに接ぎ木しようとしているのである。これは文学研究がそうであったし、従来の音楽研究が各種古典音楽と民俗音楽研究に偏り過ぎている事を思えば、文学理論や社会学的手法を導入する事それ自体は良いと思う。<P> ただ、この本を見る限りでは他分野の分析ツールの流用例及びそれを音楽研究に流用する際の技術的諸問題の紹介に留まっており、そもそもそのような新しい手法を何の為に用いるのか、何を明らかにしたいのかという点が見えてこない。そういう意味では博覧会的な本である。教科書という側面もあるとはいえ、当分野で一流の執筆陣の論文を集めたのであるから、何か統一的なテーマを設定して編集した方が、各論文間の関係も読者に解りやすくなったと思われ、残念である。<P> ポピュラー音楽研究者の「自分探し」を眺めたい方に。とりあえずこのような本が出た意義は評価したい。

 ポピュラー音楽研究とは畢竟、「私たち自身について考えること」(1章・山田晴通)であり、究極の学際性を帯びている。それは、「音楽学、社会学、文学、文化人類学、心理学、経済学などの多様な分野の研究者たちが、さまざまな関心を持ち寄りながら成立してきた研究分野」(6章・増田聡)なのだ。つまり、ポピュラー音楽の研究者とは、既存の学問制度的な枠組みのうちに安住を許されず、それぞれに肩身の狭さや冷たい視線を感じつつ、けれども音楽文化への愛を貫こうとする冒険者たちである。その冒険を導く本邦初の広域ロードマップとして、(すでに複数の大学で教科書にも指定されている)本書が出版された意義は大きい。<BR> 本書の非凡な射程を最短距離で実感するには、まず、同じビートルズの作品㡊??いかに異なった解析の対象になりうるのか、という振幅の検証(6章・増田聡)を一読した上で、最も音楽学の方法に接近するロック/Jポップのリズム論(7章・矢向正人)と、音楽から遠く離れて音楽を語る社会心理学的アイドル受容論(13章・辻泉)に目を通してみるのがよいだろう。本書の各章はいずれも、具体的な作品や事象への各論的な掘り下げとともに、理論的な一般化への開け放ちを試みているので、たとえば、和製ラップの分析から日米のグローカル(=グローバル/ローカル)な音楽状況を照射する論考(4章・安田昌弘)を読めば、ラップに興味のない読者も、方法論のレベルで多くの示唆を得るに違いない。<BR> もちろん、日進月歩のテクノロジーと連動する音楽産業のあり方を考えると、あと10年後、本書ち?最先端の探究ではなく、過去の一足跡となっている可能性もある。が、それは、日本のポピュラー音楽研究の体系化という流れのなかで、歴史的な第一歩として記憶されることだろう。編著者である東谷護の情熱と英断に、大いなる拍手を送りたい。

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