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グロテスク ( 桐野 夏生 )

 読む途中で、何度このぶ厚い本を閉じただろうか。<P> どうあがいても凡人には与えられない美貌や頭脳、家柄。それらに対する羨望や嫉妬、妬み。努力という行為を信じて立ち向かうのか、それとも目を瞑り逸らすのか。報われない努力を続けるのが修羅の道なら、そこにある現実から目を逸らして生きるのも茨の道。「グロテスク」には、人という存在が決して持たずには避けて通れない、どうしようもない感情の交合が詰め込まれている。<P> 羨望、嫉妬、妬みといった、グロテスクな思いをあらわにした人生を展開する登場人物たち。私が何度も本を閉じたのは、彼彼女らに“自分”を垣間見て、恐ろしさと辛さを覚えたからだ。<P> 本当に読み続けるのが辛かった。だから別に途中で読むのを止めたって構わなかった。それでも最後まで読み通したのはなぜだろうか。私自身、その理由は分からない。推測にしか過ぎないが、嫉妬や妬みというグロテスクな感情からどう自分を解き放つべきかを、この物語を通して見いだしたかったからではないだろうか。<P> もちろん、その答えが明に、この「グロテスク」に描かれているわけではない。こんな“病”に特効薬などないだろう。自分の中にあるグロテスクな感情をどう解きほぐしていくか。この小説は重いテーマに立ち向かうきっかけを私に与えた。

人間の善意よりは悪意を扱ったものなので、すがすがしい読後感などは得られませんが、作者の人間観察は鋭く、とりわけ、劣等感などの暗い感情に対する描写は、少し気味が悪くなるほどの精緻さでした。また、日本人の、西洋人に対するコンプレックスからくる卑屈さの表現もさることながら、西洋人の男の人の吝嗇ぶりも(理不尽な支出は一切拒否する力あるケチさとでもいいましょうか)おもしろいほどよく書かれていて比較文化の視点からも興味深く読めました。

女性(主人公)の心理とはなにか?を考えさせられたそんな作品。<P> 俗にいう勉強ができた女の子、高校、大学と名門校に進み、一流企業に就職。そして夜は売春婦。<BR> 多分、ある種の劣等感からそんな感じになってしまたのかなあと、でも結末は本当に切ない。そして暗い。<P> 桐野 夏生は女性の心理を巧みに紙面に描写する手法がうまい。<BR> 今回の一人称形式のプロット、主人公等の人物造形もうならせる。<BR> 女性読者に評判が良い作品とは聞いたが、われわれ男が読んでも<BR> 一種のマジックに陥ってしまいそうな、そんな錯覚を感じさせて<BR> くれる読後感が忘れられない。

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グロテスク&nbsp;『OUT』 『柔らかな頬』など、単なるミステリーにとどまらない作品を生み出してきた桐野夏生が、現実に起きた事件をモチーフに新たな犯罪小説を書き上げた。自身をして「その2作を超えて、別のステージに行ったかな」と言わしめた作品だ。 <p>&nbsp;&nbsp;&nbsp;主人公の「わたし」には、自分と似ても似つかない絶世の美女の妹ユリコがいた。「わたし」は幼いころからそんな妹を激しく憎み、彼女から離れるために名門校のQ女子高に入学する。そこは一部のエリートが支配する階級社会だった。ふとしたことで、「わたし」は佐藤和恵と知り合う。彼女はエリートたちに認められようと滑稽なまでに孤軍奮闘していた。やがて、同じ学校にユリコが転校してくる。 <p>&nbsp;&nbsp;&nbsp;エリート社会に何とか食い込もうとする和恵、その美貌とエロスゆえに男性遍歴を重ねるユリコ、そしてだれからも距離を置き自分だけの世界に引きこもる主人公。彼らが卒業して20年後、ユリコと和恵は渋谷で、娼婦として殺されるのだった。 <p>&nbsp;&nbsp;&nbsp;いったいなぜ、ふたりは娼婦となり、最後は見るも無残な姿で殺されたのか。そこに至るまでの彼女たちの人生について、「わたし」は訳知り顔で批判を込めて語っていく。しかし、ユリコと和恵の日記や、ふたりを殺害した犯人とされる中国人チャンの手記が発見されるに従い、主人公が本当に真実を語っているのか怪しくなってくる。つまり「わたし」は「信用できない語り手」だということが明らかになってくるのだ。その主人公に比べ、日記であらわになるユリコと和恵の生き様は、徹底的に激しくそして自堕落である。グロテスクを通り越して、一種の聖性さえ帯びている。 <p>&nbsp;&nbsp;&nbsp;読み手は何が真実か分からなくなるかもしれない。しかし読み終わったとき、この物語に不思議な重層性を感じるだろう。(文月 達)
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