ビューティフル・マインド 天才数学者の絶望と奇跡 みんなこんな本を読んできた ビューティフル・マインド 天才数学者の絶望と奇跡
 
 
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ビューティフル・マインド 天才数学者の絶望と奇跡 ( シルヴィア ナサー 塩川 優 )

映画を見た人にはぜひこの本も勧めたいですね。映画はあまりに美化されすぎていますので(フィクションに近い美談としては楽しめますが)。この本では、元経済面担当記者の著者が数学者ジョン・ナッシュの周辺を丹念に取材して、膨大な記録をもとにこのノーベル賞受賞者を冷静沈着に描いています。司馬遼太郎の歴史小説を読んでいるような感覚がしました。単に天才数学者の生き様を描くだけではなく、彼の業績を持ち上げるだけでもなく、彼の奇行や精神分裂、家族の苦悩、数学と軍事・政治の関係、数学者のコミュニティなどなどさまざまな視点からジョン・ナッシュの周辺を炙り出そうとする著者の姿勢に好感を持ちました。

これは、2001年アカデミー賞作品賞を受賞した映画の原作です。これを読むと、映画はかなり事実を美化している部分もあるのだと分かりました。映画との相違点はいくつもありますが、受賞前に問題にされたのは、ナッシュの同性愛については触れられていないところや、ナッシュはユダヤ人差別的な発言もしていたことだったそうです。また、映画ではナッシュの愛人や私生児の存在についても触れられていませんし、アリシアとの離婚も描かれていませんでした。傲岸不遜だから孤独になるのか、孤独だから自分を特別な者と思いたいのか、どちらが先なのか分かりませんが、ナッシュは子供の頃から常にへんだったようです。独創性を重んじる姿勢は学者としては尊敬できるでしょうし、その天才性も議論の余地はないでしょうが、性格ゆえに学者としての昇進や栄誉から結果的に遠ざかったのは、皮肉なことでした。本の前半では、著者の容赦ない描写もありますが、主人公のナッシュも妻のアリシアも、非常に自己中心的でとても魅力を感じられる人ではなかったようです。但し、様々な艱難を経て、彼らが他人の役に立つように成長し、変化していったのは、救いがあったと思います。面白かったのは、アメリカのアカデミックな発展の背景には、第二次世界大戦に欧州が巻き込まれ、特に優秀なユダヤ人が大量に移住してきたことに負う点が多かったという件です。また、戦後のマッカーシズムの嵐の中で、同性愛者や共産主義者が摘発され、ナッシュ自身も影響を被ったというところも、時代の重さを感じさせました。

 素人ながら数学関係の本を読むのが好きで、また精神病にも興味を持っておりますので、何の躊躇もせずに本著を手に取りました。しかしながら、三分の一程読み進むと酷く後悔し始めました。理由は定かではありませんが、読み続けていると妙に疲れを感じるのです。<P> 尤も、内容自体はそう悪いものでも無いと思います。天才ナッシュを手放しに称賛したりはせず(時にはナッシュや家族達への思いやりも見て取れましたが)あくまで客観的な視線で彼の人生を見つめ、叶う限り真実に近い記録を記そうとする著者の姿勢は、ジャーナリストとして大変立派であると思います。<P> しかしながら、そうして赤裸々に描かれたナッシュの人間像は、どうにも共感出来ない、愛せない人柄に描かれており、その点が(私の様!凡人は素より)多くの一般読者に疲弊感を感じさせてしまうのではないかと懸念されます。終盤、精神分裂病を経る事でナッシュの人柄は随分と変化するのですが、その辺りの取材及び記述が少なすぎる感も否めません。<P> また、本著にはゲーム理論の他にも、多様体や複素関数など数々の専門用語が登場しますが、それに関する一般向けの説明は一切書かれておらず、注釈もありません。数学に疎い方が読むには、かなり辛いものがあると思われます。例えば、私自身はユークリッド幾何学の知識が全くありませんので、多様体の埋め込み論の辺りを読む際は些か苦痛を感じました。<P> 個人的に面白いと思えたのは、ナッシュの人生そのものよりも、むしろその背景となった米国数学界の数々の逸話です。第二次大戦中のエピ!ソードは素より、プリンストンやMITの自由で柔軟な様子などは、日本の大学しか知らぬ私には大変興味深く思われました。殊に、分裂病を患うナッシュが「ファインホールの幽霊」として研究所内に在籍を「許され」、多くの学生達が、畏敬と、時には親しみを以て「幽霊」に接したという事実は、全く驚嘆に値します。日本国内の大学や研究所ではまず有り得ない事ですが、其処にこそ、米国数学界の衰えぬ活気の秘密を垣間見たように思いました。

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ビューティフル・マインド 天才数学者の絶望と奇跡&nbsp;&nbsp;&nbsp;一風変わったプリンストン大学生の逸話というのは、数に限りがない。映画『フラバー』のモデルにもなったフーバート・アリエラしかり、ラルフ・ネイダーしかり。それらの数々の逸話は、学部生ですら図書館の鍵を持つことができるという恵まれた環境が生んだものともいわれている。 <p>&nbsp;&nbsp;&nbsp;多くの学生が、数学や物理学の学部校舎の中で「ファイン・ホールの怪人」と呼ばれる人影を目撃していた。彼は紫色のスニーカーをはき、黒板に数学の問題を書きなぐっては徘徊している。怪人の名前はジョン・ナッシュ。天才数学者でありながら、精神分裂病に苦しんだ男。彼の最も偉大な業績は、1980年代に経済学に大きく浸透した「ゲーム理論」の確立であった。 <p>&nbsp;&nbsp;&nbsp;ノーベル賞委員会は、「ゲーム理論」確立者へのノーベル賞授与を検討していた。しかし、必然的にあがるジョン・ナッシュの名前が、ノーベル賞授与を躊躇(ちゅうちょ)させる。精神病の男にノーベル賞をおくるわけにはいかないというのがその理由だった。しかし1994年、精神分裂病を克服したナッシュは、45年前の業績でノーベル経済学賞を受賞する。 <p>&nbsp;&nbsp;&nbsp;経済学者でもあり、ジャーナリストでもあるシルヴィア・ナサーは、ジョン・ナッシュの人生をあらゆる側面から見つめる伝記を執筆。彼女は、ナッシュの数学理論を知的かつわかりやすく解説すると同時に、精神分裂病の厳しい現実を浮き彫りにする。 <p>&nbsp;&nbsp;&nbsp;また、著者は作品中、ノーベル賞受賞学者ナッシュを取り巻く「陰謀」にも触れている。この手のものを扱って出版された、数少ない作品の1つである。本書は、「人間の心に関する3つの神秘:才能、狂気、復興についての物語」である。(Mary Ellen Curtin, Amazon.com)
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