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たそがれ清兵衛 ( 藤沢 周平 )

 藤沢周平『たそがれ清兵衛』は短編集で、表題作の「たそがれ清兵衛」は巻頭に入っています。いま映画館でこの「たそがれ清兵衛」が上映されています。某 ワイドショーによると、観客はこの映画に「サラリーマンの悲哀」を見出し、涙を流すとか。でも映画と小説は全然違います。<BR> <P> 「たそがれ清兵衛」では、人間愛(夫婦愛)が描かれているんですが、それと完全並立<BR>するかたちで、武士社会の論理も描かれています。<BR> <BR>  病気の妻に優しい主人公。しかし「上意」(主君の命令)により何のためらいもなく、<BR> 人を殺す。<BR>  いやためらいはある。けれども、それは殺害の日には帰りが遅くなるので、妻の介護<BR> に差し支えはしないかという心配なんです。<BR>  また、その後日、殺した相手の護衛が主人公を殺そうとするのですが、この時も、主<BR> 人公は実にあっさりとその人物を殺している。何のためらいも、葛藤もなく。そして平<BR> 然とその場を立ち去り、妻の元に急いで帰ってゆく。<BR> <BR>  江戸時代の武士は主君に絶対服従なんですね。無条件の服従が要求される。このよう<P> なありかたは「封建制」とは違うという見解がある(石尾芳久、吉本隆明)。<BR>  厳密な意味での「封建制」においては、主従の上下関係は絶対的なものではなくて、<BR> give and take, 「ご恩」と「奉公」という相互性の関係がある、という。西欧と日本の<BR> 中世にはこの「封建制」があった。しかし、江戸時代の日本では「封建制」は崩れてお<BR> り、それにかわって「アジア的専制」があったのだ……という見解がある。<BR> <BR>  この見解に依拠して、やや「ゴーマンかまして」みますと、藤沢周平の小説「たそが<BR> れ清兵衛」は、夫婦愛と「アジア的専制」とのコントラスト、それらのあっけらかんと<BR> した両立可能性がテーマになった小説だということになる。映画と違って、サラーリマ<BR> ンが自己投影でき、「団塊の世代」がむせび泣くような、やわな小説では毛頭ありませ<BR> ん。

 短編集です・・表題の「たそがれ清兵衛」城勤めの武士でありながら、妻が病床に付き下の世話まで彼が見なければならない。そのため夕方の退城の定刻になると逃げるように自宅へ戻る。そんな彼に皆があざけりをこめてつけたあだなが「たそがれ」。本人も特に気にすることなく妻の身だけを案じて暮らしている。<P> そんな彼に上意討ちの討手の役がひそかに舞い込む。実は彼は若い頃は藩内でも一,二を争う剣の腕前。夕方の城中での上意討ちが刻々と迫る中、愛する女房の下がもれてないか気が気でたまらぬ。が、そこは主人公、相手を鮮やかな腕で始末した後、いそいで女房の下の世話へと急ぐのだった・・。<P> 表題作を始め、どの短編もいじらしく人間くさい主人公と、普段は見せぬがいざというときに出てくるあざやかな剣さばきの対比が素晴らしい。作者が晩年にその胸中に達したといわれるユーモアとペーソスをさわやかに織り成しながら、剣客小説としての凄絶さも失われない、まことにバランスのとれた稀有な傑作だと思う。あらゆる人に推薦。

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