「語りえぬもの」からの問いかけ―東大駒場「哲学・宗教・芸術」連続講義 みんなこんな本を読んできた 「語りえぬもの」からの問いかけ―東大駒場「哲学・宗教・芸術」連続講義
 
 
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「語りえぬもの」からの問いかけ―東大駒場「哲学・宗教・芸術」連続講義 ( 宮本 久雄 甚野 尚志 三浦 篤 野矢 茂樹 沼野 充義 高橋 哲哉 杉田 英明 岡部 雄三 今橋 映子 門脇 俊介 )

本書は何らかの特定の分野に関して深く掘り下げたものではない。東大教養学部の教官達による、学部教育の目録ともいえる内容である。本書を深く理解することは、並み大抵のことではない。しかしそれぞれの教官の問題意識を捉え、自分の問題意識との際について考えるきっかけが出来れば、本書を読んだ価値は十分にあるといえるのではないか。大学の授業内容に興味のある高校生や、いざ大学に入学したものの、自分の関心領域を見い出すことのできない人が読めば、面白い発見があるのではないだろうか。

 本書は…「語りえぬもの」のポリフォニィーにみちた魅力ある「語り」なのです(宮本「序」)。わたしたちが自由に語れるのも、気ままに空想を遊ばせうるのも、そしてなによりも活き活きと生きかつ創造しうるのも、語りえぬものがあればこそです(岡部「おわりに」)。この二人の編者の言葉の間に、編者自身を含む十一人の講師による一、二年生を対象としたテーマ講義の記録。<P> たとえば、第1講で野矢茂樹氏は、ウィトゲンシュタインの『論考』がしかけてくる退屈の罠から逃れるために、「無限とは本質的に退屈なのだ」(そして、人生も)という構成主義的無限論の立場を保持しながら、思考可能なものたち(語りうるものたち)の総体は不動ではない、だから「いつか新たな思考の可能性が開けるかもし!!!ない」という期待あるいは「予感」(野矢氏はそれを「野生の無限」と呼ぶ)に賭けて、「なるほど、語りえぬものについては、沈黙するしかない、だが、語りえぬものを語りえぬままに立ち上がらせるには、語り続けねばならない」と語る。<P> 続いて門脇俊介氏が、二十世紀の哲学者にとって語りえぬものの別名であった「世界の神秘」をめぐって、ハイデガーの哲学は、ハイデガーが人工的に仕組んだ世界の「故障状態」(そこにおいて、世界という語りえぬものが一瞬われわれの経験において閃く)だったのではないかと語る。<P> そのハイデガーが愛してやまなかったエックハルトについて、岡部雄三氏は第8講で、「エックハルトにとって、自己を荒野化する、無化するとは、…自己を空にし透明化することによって自!!臨界を明確に線引きし、語りえぬかのもののエネルギーをその自己のうちに自由かつ個性的に噴出させ体現させることにほかならなかったのです」と語る。<P> 最終講義で沼野充義氏が、「個の魂に宇宙を見る」ロシア・コスミズムの香気をふりまきながら、「文学的創造とは、「表現されないもの」と向き合い、かりにそれを克服できなくとも、表現されえないものがいかに表現されえないかということを表現しようとする過程から成り立ってきた」と語る。<P> ──「語りえぬもの」の語り(哲学の思考)と表現(芸術の美)、そして「語りえぬもの」との対峙(宗教の智慧)をめぐるこれらの連続講義を総称する言葉は、「科学基礎論」(デカルトの哲学の樹の根っこにあるもの)なのではないか。

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「語りえぬもの」からの問いかけ―東大駒場「哲学・宗教・芸術」連続講義&nbsp;&nbsp;&nbsp;東大教養学部駒場校舎の俊英の教官たちが、2001年夏学期に行なった1・2年生対象のテーマ講義11の記録である。「世界の閃き―ハイデガーの思考」「空海における『源』ということ」「金子光晴『うれひの花』のありか―詩と絵画の彼方へ」など、哲学、思想、歴史、宗教、芸術、ドラマなどをテーマとした実験的講義が行なわれ、思考の極み、表現の臨界点に達したと高い評価を集めた。 <p>&nbsp;&nbsp;&nbsp;著書は11人の個性豊かな講師陣。全員が東大大学院総合文化研究科と人文社会系研究科の教授・助教授で、気鋭の研究者ぞろいである。このうち、哲学が専門の宮本久雄とヨーロッパ神秘思想が専門の岡部雄三が編者を務めた。また本書のタイトルともなった「語りえぬもの」という魅力的なテーマを見出したのは、哲学が専門の門脇俊介であり、参加者は全員このテーマに「魂を射ぬかれ」、各々の得意分野でこのテーマを語るという試みに挑んだという。 <p>&nbsp;&nbsp;&nbsp;この深遠なるテーマを前に、いにしえの文化に思いを馳せ、宗教の経典に描かれた教えを検証し、芸術家たちの創作的試みへの論考を重ねる。いささか難解な表現も多いが、この冒険的な思索はこの上もなく贅沢である。大学という場で誕生した11編のメッセージが1つの交響曲となり、荘厳な音色が心に響く。「日常とは別の次元の眼差しと言葉」をもち、豊穣な思考の大海にたゆたう幸福は、この忙しい現代にこそ光り輝いてみえる。(田島 薫)
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