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海上護衛戦 ( 大井 篤 )

資源もない日本という島国の生命線は、シーレーンにある。そして資源を求めて始めた戦争のはずだったのに、その資源を運ぶ船の護衛を怠った。連合艦隊の決戦主義に拘泥し、シーレーン防衛を軽視した。そこを米軍は効果的に突いた。事の重要性に気付いた時には、すでに遅すぎた。否、最後まで気付いてはいなかったのかもしれない。<P>1945年4月、軍事的には自殺行為にも等しい戦艦大和以下の水上特攻作戦が発令された。その悲劇的結末はよく知られているが、この愚行のために、海上護衛総隊が使うはずだった貴重な燃料を横取りされてしまうのである。この作戦の目的が、「光輝ある帝国海軍水上部隊の伝統を発揚すると共に、その栄光を後世に伝えんとするに外ならず」ということを知った海上護衛隊参謀であっ!た著者大井篤氏は叫ぶ。「国をあげての戦争に、水上部隊の伝統がなんだ。水上部隊の栄光がなんだ。馬鹿野郎!」<P>海軍は連合艦隊の栄光と伝統のために、それが奉仕すべき日本という国家の利益まで犠牲にした。大和特攻によって、帝国海軍水上部隊の最期という滅びの美学は完成した。しかし、日本は終戦のその日まで、敵潜水艦の跳梁する海を冒して、大陸から食料を運び、燃料を運び、国民生活を支えなければいけないのだ。こうした観念主義に凝り固まった無責任な軍の体質が、日本を亡国の淵に追いやったのだ。よく日本はアメリカの物量に負けた、と言われる。しかし、仮に同じ条件で日米が戦っても、やはり日本は完膚無きまでに叩きのめされたと思う。日本は負けるべくして負けたのだ。

本書は、戦争中に実務を担当した著者による、護衛戦の回顧である。当事者でありながら、戦略的な視点を全巻で堅持し、かつ批判的に叙述している点が貴重であろう。<BR>海軍作戦に関する稀に見る良書だと思う。<P>なかには多少意外な指摘もある。<P>アメリカ海軍は日本と同様、潜水艦の任務を軍艦攻撃と想定していたが、ドイツのUボートがイギリスを追い込んでいく様を見て、方針を変えたという。すごいなあ。<P>また、海上護衛の問題はいろいろあるが、有為な指揮官の不足が意外に大きかったようだ。<P>何事によらず、要所要所に一人か二人でよいから、着眼の良い人士を配員してあると、その組織全体の機能はグンと上がるものだが・・・、という指摘は深みがある。<BR>そのために、護衛作戦に必要な情報が、なか!!!か得られなかったと言う。また敵の戦法を見破り、護衛戦法を発達させることができなかった最大の原因はそこにあるともいう。<P>人、やはり人なんですねえ。

 太平洋戦争時の日本の海上輸送について、海軍の海上護衛総司令部参謀を務めた著者によって記された本。すでに高い評価を得ている(初出は1953年)。<P> 内容は比較的単純である。連合軍の潜水艦等による輸送船やタンカーの被害が大きく、それが日本の造船能力を上回るならば、戦争遂行に必要な物資の輸送は年を追うごとに困難になっていく。このことを開戦前にすでに危惧する人々がおり、著者もその一人であった。そしてその危惧した状況が、現実のものとなっていく。<P> この海上輸送の問題をはじめとして、物量や生産力では米国にかなわないことを理解していた人は少なからずいたにもかかわらず、対米戦争を開始してしまったこと、またそれを強力に後押ししていたであろう世論というものの危うさを考えさせられる。あまりに簡単な数字(=船腹量の減少)とそこからみえる悲惨な結末、そしてそれを防ぐことができない現実との落差に、なんともいえないにがみを感じる。<P> 終戦の年には、潜水艦や航空機による輸送船攻撃、関門海峡や主要な港湾の機雷封鎖により、原料不足で日本の工場生産は停止しつつあり、国民に必要な最低限の食糧の確保でさえ絶望的な状況となっていた。これらの事実は、日本に敗戦を受け入れされるために、市街地空襲や原爆投下が必要だったかどうかという点にも関わってこよう。無論それ以前に、遅くともフィリピン・レイテ島陥落時には、日本の指導部は戦争終結を決断すべきだったとも思うが。<BR> ビジネスに直接役立つとまではいえないかもしれないが、太平洋戦争や、戦争一般における輸逡・兵站の問題を考える際には必読の書であり、一般教養書としても十分読むに値する。

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海上護衛戦&nbsp;&nbsp;&nbsp;いわゆる戦争について書かれた書物の中で、「護衛」に関したものは、特に日本では少ないであろう。太平洋戦争当時においても、上陸作戦との関連においてはともかく、通商保護に関してはほとんど関心を持たれていなかったらしい。しかし、資源小国の日本にとって、太平洋戦争の開戦の理由の大きな部分は南方の資源の確保にあったはずであり、その輸送路が断たれれば戦争継続はおろか国民生活にも重大な支障となることは明らかであった。そしてそれは現実のものとなったのである。<br> &nbsp;&nbsp;&nbsp;著者は、昭和18年から終戦まで海軍で海上護衛総司令部参謀を務めていた。もっとも、総司令部といってもその戦力はお粗末なものであり、軍備の劣る老朽艦や小型艦ばかりが配備されていたという。遠洋航路の大型商船にとっては速度が遅い護衛船ではかえって足手まといになるケースもあった。また、護衛作戦についても満足な知識を持つものは少なく、素人の集まりといってよかった。<br> &nbsp;&nbsp;&nbsp;本書からは、軍上層部の護衛への無理解に対する著者の歯噛みが随所に伝わってくる。護衛は戦果を挙げることがほとんどなく、味方が被害を受ければ非難される損な役回りだ。そして、その重要性は極めて大きいのにほとんど評価されることはない。<br> &nbsp;&nbsp;&nbsp;現在の日本は、戦時中以上に海外に資源を依存している。すなわち、シーレーンの重要性は当時よりはるかに増しているのだ。この問題について考えるとき、戦時における貴重な体験記として、本書の持つ役割は決して小さくないだろう。(杉本治人)
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