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後巷説百物語 ( 京極 夏彦 )

怖い。<BR>京極氏の全作品の中で、私は「赤えいの魚」が一番怖い。本書の冒頭を飾る作品だ。<BR>「風の神」の幕引きは見事だと思うし「狂骨の夢」や「陰摩羅鬼の瑕」への流れを感じるような「五位の光」も面白いが「怖い」と思ったのは本章だけだ。<P>「笑い」というものは「恐怖」が去った安著の表情から派生したものだという。その「笑い」だけ切りとり固定したものが、本章の恐怖の根本にある。残酷に殺されて行く人々の描写よりも、既に形骸化した「掟」を忠実に守ることを当然の理であるとする者よりも、私は彼等の「笑い」が怖い。<BR>「愉快」だからでも「絶望」からでもなく「掟」故に笑う。<P>「嘲笑」でも「哄笑」でもない、最後の顔の形状として笑う。<BR>この「恐怖」は普通ではない。

 怪談をテーマに、世の中の恨み辛みを落ち着く場所に落としていくシリーズ<BR>の第3弾(長編を入れれば第5弾か)。舞台を明治に移し、過去を懐かしむ<BR>老人が、かつての不思議とその裏に潜む『仕掛け』について語っていくとい<BR>う体裁をとり、これまでの本シリーズの短編集とは、ひと味ちがう世界を作<P>る事に成功しているが、シリーズ独特のどのように仕掛けるのかといった臨<BR>場感にはやや欠けるかもしれない。しかし、作品の質がおちるわけではなく、<BR>ドラマ化された作品の原作や、著者の他シリーズにつながる伏線などもあっ<BR>て、ファンならずとも読み逃せない作品だ。

その名の通り、「巷説百物語」「続巷説百物語」の「のちの」話。しかし既に時代は江戸から明治へと移り変わっており、世に溢れていた怪異は近代化の名の元にだんだんと駆逐されていく... 。そんな中、諸国を巡り様々な怪異に遭遇しながら、また一方で又市らの仕掛ける大きな仕掛けの一部となりながらも、あてなく過ごしてきた百介も、一白翁として九十九庵を結び、既に隠居している。<P>そんな中、剣之進、正馬、惣兵衛、与次郎の4人は世の中で起きた不思議な話を、あれやこれやと話しながらも、最後には物知りの一白翁に話し、そして相談しに来るのだ。老人は過去を懐かしみながらも、かつて遭遇した不思議な話を語り始める... 。「世に不思議なし、世凡て不思議なり」と。<P>現代(ここでは明治)の怪異の解き明かしを、昔の不思議な話をヒントに行っていく。そして最後に、語られなかった昔の不思議な話、つまり又市らの仕掛けたカラクリが明らかにされる、といった作りの短編集で、最後の一編を除いて、雑誌連載のもの。<P>時代の移り変わりと、百介による語りという形でこれまでの2作とは一味違う。鮮やかさはないが、味わい深い作品だと思う。「赤えいの魚」などは「陰摩羅鬼の瑕」で語られた奇妙な世界に非常に近い印象を受けた。<P>尚、本作最後の2篇は「陰摩羅鬼の瑕」とも非常に密接な関係がある他、随所にこれまでの作品との関連も見られる。じっくり、何度も読みたい作品だと思います。

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