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あやし ( 宮部 みゆき )

暑い夏の夜、ふとんに持って入るのにぴったり。<BR>一気にスーッと涼しくなること、請け合い!<P>個人的に一番好きだったのは「安達家の鬼」。<BR>幽霊も鬼も恐ろしくはあるけれど、<BR>それにも増して怖いのは人の心の業と哀しさ、<BR>そう語りかけてくるような短編。<P>藤沢周平的ヒューマニズムはせつなく、<BR>江戸的情緒はあくまでも美しく、<P>読み終わったあとは一人でトイレにいくのがコワイ。<P>宮部みゆき、読ませまっせ。お一ついかが?

ハリウッドが日本映画を真似て何本かホラー映画を作った。それを観て、『どうしてこんなに怖くないのだろうか』と思った人は多いのではないだろうか。「驚かす」怖さはある。しかし、「ぞーとする」怖さは無いのだ。黒澤清の『回路』という作品がある。これは怖い。なぜかというと、何故こんな呪いが主人公たちに降りかかるのか、どうも観ている人たちに分からないからである。けれども確実に呪いはある。そこに確かに幽霊はいる。けれども見えない。これがなんと何分も続く。もう耐えられない。怖い。『理由のはっきりしない怖さ』ほど怖いものは無い。ハリウッド映画では作品途中で呪いの本体の哀しい背景が描かれる。これが興ざめ。確かに呪いの力は凄くその理由もよく分かったが、その呪いは決して私は関係無いのだ、と安心できるからである。<P>さて『あやし』であるが、これは純粋に日本的な『恐怖』を描いている。呪いに掛けられた人たちはいま一つその本当の理由が分からない。だけど『灰神楽』を立てると幽霊がすぅーと通り過ぎたらやはり怖い。納戸部屋になぜか女の首が自分だけに見えたら怖い。自分の知らないところで嫉妬に狂った女が心中を強要してきたら怖い。そして少しだけもの哀しい。

江戸とミステリーと人情がマッチした私の大好きな短編集です。中でも布団部屋にはじんときました。読み終わった後には、切なさの中にも妹想いの姉の心がしみじみさせます。安達家の鬼もいいですね。鬼は外にいるのではなくて、自分の心の中にいるのかも。江戸時代は今のように電気もないし科学も発達していないので、いかにも「あやし」のものがでてきても、おかしくない感じです。江戸時代の人々の暮らしぶりがかいま見えるのも楽しみの一つです。短編だけれど、どれもこれも恐い話ばかりの、正統派日本の怪談集です。夏の夜の1冊に是非読んで下さい。

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